コロナ禍の始まり・自粛生活にも馬のある風景を 

2020年春、新型コロナウイルス感染症が日本国内で拡大した。

 春から秋まで年に何度か実施している下川町市街地での愛馬ハナの移動放牧は、例年5月末以降に行っていたが、この2020年のシーズンは開始を1カ月以上早めた。

残雪もあり草も生える前だったが、新型コロナウイルス感染予防で自粛生活が続く中、寂しげな雰囲気が漂うため、散歩や買い物、通勤などの際、道行く方々に「馬のいる風景」があることで、わずかでも「癒やし」にしていただけたら―という思いがあるからだ。

下川町西町ふるさと通り線沿いの自宅の庭に柵を張り、4月は平日の13、14日、さらに週末の25、26日に放牧した。

自宅の庭までハナに乗って移動するが、町内三の橋の牧草地から市街地を経由して、15分程度で到着できる。

「馬」はコロナウイルスに感染しない。馬から人にも感染することはない―とされる。馬と触れ合うことそのものは「安心」といえる。

だが、人同士が集まれば、人と人で感染する可能性が生じるため、人と人との適度な距離を保ちながら楽しんでいただいた。人通りの少ない屋外なので「密集」「密室」の心配はない。

ポツンポツンと時間を置きながら、地元の子どもたちやその保護者、散歩中の高齢者や若者世代の方が見に来てくださっていた。

希望があれば、町内市街地の他の場所でも、感染症予防に考慮した条件下で、移動放牧を考えてみたい。-と当時の筆者は語っていた。

2023年には毎週のようにさまざまなところでハナを放牧し、地域の方々に楽しんでいただいている。

<今回は名寄新聞の2020年5月16日付掲載記事を基に再構成しました>

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