
2020年の8月13日、愛馬ハナ(ドサンコ)と共に、下川町内の家庭菜園で和製犂(すき)を使った馬耕に初挑戦した。
ドサンコは、たくましいが小柄で乗馬向き。畑を耕すのはばん馬のほうが向いていると思う。
北海道内で行われた馬耕の多くは、外来種を掛け合わせた農耕馬、外来犂「プラウ」を使ったものがほとんどで、和製犂と和種馬で土耕した事例は希少。ドサンコで本格的な土耕は難しい。
では、なぜやるのか。今の道内で日常の暮らしの中、馬を飼うなら、ドサンコに可能性があると感じている。ドサンコの多様な可能性を、無理のない範囲で追求することが、持続可能な暮らしの一助、馬を飼う機会の拡大、馬文化伝承につながると考えるからだ。
町内で小規模菜園を行う人は多く、その再耕なら、ドサンコも可能ではないか―と筆者は考え、人力と馬力による小規模菜園の可能性を探ろうと、今回の挑戦に至った。
馬耕の講師は、幕別町忠類でノースポールステイブルを営む蛭川徹さん。蛭川さんはNHK連続テレビ小説『なつぞら』で、馬車指導などを担当し、蛭川さんの愛馬「桃姫」も出演者と息の合った演技を見せた。
蛭川さんは「馬耕は、わずか数十年前まで普通の光景で、記憶にある方々がいまだ多くいる。馬なくして開拓はなかった。働く馬に関わる一番の魅力は、先人たちの持っていた人間力に触れることにある。先人への敬意を忘れずにいたい」と話す。
馬耕の勉強は、蛭川さんの指導でハナと筆者の事前学習から始まった。
物を引くときに使う手綱を持ちながら、ハナと耕す畑の周りを巡回。ハナに物と連結させる引き木「ドッコイ」のみを引かせるなど、段階を踏みながら慣らした。ハナは冬にそりを引いた経験もあったので、難なくこなしていた。
見学に来てくださった皆さんで馬代わりに和製犂を引いてもらいながら、筆者が操作を教わる場面もあった。
次回、馬耕の様子を紹介したい。
<今回は名寄新聞の2020年8月20日付掲載記事を基に再構成しました>
