下川のサンルダム 明治伝来の地に別れを水没農家が移転準備 補償金は約13億円

サンルダム建設に伴い、水没するサンル地区農家の一部で、建物解体など移転作業の準備が始まった。立ち退き期限は1999年(平成11年)3月25日までだが、大半の農家は「雪が降る前にメドを立てたい」との意向で、納屋などの解体作業に着手するところが出てきた。

※1998年(平成10年)8月15日 掲載
(記者からの一言)
99年(平成11年)から付け替え道路工事に着手したが、サンル川にはサクラマスが遡上(そじょう)し、自然への影響が懸念されるため、2003年(平成15年)5月から06年(平成18年)12月まで20回にわたって天塩川流域委員会が開催された。08年(平成20年)4月に付け替え道路の一部区間が供用開始した。
サンルダムは、1968年(昭和43年)の予備調査に始まり、88年(昭和63年)に実施計画調査、92年(平成4年)12月に建設が正式決定した。95年(平成7年)8月、建設に関する基本計画が告示された。09年(平成21年)10月、国のダム建設事業見直しにより、ダム堤体建設工事の入札手続きが取りやめられた。12年(平成24年)10月に付け替え道路が全線開通し、同年11月には事業継続が決まった。
13年(平成25年)5月、基礎掘削工事に着手。15年(平成27年)9月にダム本体コンクリート初打設、16年(平成26年)8月に定礎式、17年(平成29年)11月に本体コンクリート打設が完了した。
18年(平成30年)6月から試験湛水(たんすい)を開始、19年(平成31年)2月に試験湛水が終了し、同年3月に竣工式、同年4月から運用開始した。
総事業費は当初480億円が見込まれたが、最終的には591億円に膨らんだ。
現在、サンル地区の農地は大半がダム湖の底になっており、現地から当時を伺い知ることはできない。