墨絵詩書家 小林白炎さん 7年連続8度目の入選 国際公募展「サロン・ドトーヌ」 新たな手法、新境地で描く

【美深】

美深町生まれの墨絵詩書家、ル・サロン会員の小林白炎(本名・裕幸)さん(53)は、フランスの国際公募美術展「サロン・ドトーヌ2023」で、7年連続8度目の入選。今年は「過去との決別~唐獅子牡丹(からじしぼたん)高御産巣日神(たかみむすびのかみ)」を出展。「今までつらかった物事を引きずらないで次に向かっていこう―と描いた」と作品に込めた思いを語る。
小林さんは1969年11月24日、美深町の生まれ。名寄高校卒業後、名寄駅前、風連など上川管内の郵便局で勤務。幾寅郵便局(南富良野町)の局長だった2009年、気軽に訪れやすい窓口を―と特技の書道を生かし、墨絵詩書を始めた。12年2月に郵便局を退職し、墨絵詩書家として活動を本格化。18年5月、同じくフランスの国際公募美術展「ル・サロン」会員に推挙。現在、旭川市在住。

「過去との決別~唐獅子牡丹 高御産巣日神」(右)を出展し入選した小林白炎さん

今年は「過去との決別~唐獅子牡丹 高御産巣日神」を出展。今年の「ル・サロン」に出展して審査結果待ちの「未来への旅立ち~狛犬(こまいぬ)神産巣日神(かみむすびのかみ)」とセットの作品であり、神社にある狛犬と呼ばれるものは、正確には唐獅子(右側、雄)と狛犬(左側、雌)の対となっている。
また「高御産巣日神」「神産巣日神」は「天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)」と合わせて、古事記に登場する「三造神」となっている。
唐獅子、狛犬の全身の模様は渦巻き状の円でも表現しており「オホーツク管内清里町の滝でサクラマスがそ上する姿を見た時、水しぶきが出ていたが、命を懸けて子孫繁栄するために動いている姿を渦巻きで表現した」と話す。
「サロン・ドトーヌ」では、前衛的な作品が評価を受けており、小林さんは7年連続8度目の入選となったが「初めての表現方法であり、今までの作風では傑作と思っていたが、それを認めてくれるどうか、前衛的な表現でも分からなかった。新たな手法、新境地で描いてきたので、自信はなかった。入選通知が来た時、驚きの方が大きかった」と振り返る。
昨年は目が不調で、制作に取り掛かれなかった時期もあったとのこと。昨年8月に清里町のサクラマスそ上を見て自信を得て、昨年9月から11月にかけて唐獅子、昨年11月から12月にかけて狛犬を描いており「構図がなかなか浮かんでこなかった。普通の表現方法なら入選しない。目の不調のせいにはしたくなかった」と明かす。
両作品について「新たな人生の糧にしてほしい。過去と決別して、これからの未来に向け、メッセージとして伝えたかった」と思いを寄せる。
今後は「烏天狗(からす天狗)」を描こうとしており「また違った表現で描いてみたい。天狗の神通力で良い世の中になるよう願いたい。構図はできている」と語り、制作に意欲を見せる。