大韓航空機撃墜から40年 最北の地で決意新た 稚内市子育て平和の日記念式典 合唱や風船に願い込め

子育て平和の日記念式典で決意表明する児童生徒代表

第36回稚内市子育て平和の日記念式典(市子育て推進協議会など主催)は1日、大岬小体育館で挙行。1983年9月1日に発生した大韓航空機撃墜事件から40年の節目。同事件遺族会の関係者や家族らが兵庫、静岡、福岡から9人が参列したほか、関係者や来賓、市内小中学校の児童会・生徒会の代表者など合わせて約200人が出席。世界恒久平和を願い、子育て平和運動の更なる発展を誓った。
 雨天で宗谷岬公園から会場を変更。黙祷に続き、子育て推進協議会会長の工藤広市長が「児童生徒の皆さんに理解して頂きたいことがある。私たち大人は日本の国境である、ふるさと稚内の歴史を風化させることなく、子育て運動を通じて平和への意識を高め続けていく。その思いを引き継いでください」などと挨拶。遺族会を代表し、山口真史さんが思いを語った。
子育て平和都市宣言朗読、子育て平和の意義の説明に続き、市内各地区ブロック代表の児童生徒6人が決意表明。中央小5年の鈴木音羽さんが「今の世界に納得していない。それはウクライナ侵攻があるから。今後も平和の大切さを伝えたい」。増幌中3年の村井優美那さんが「SNS社会のいま、他人を傷つける人がたくさんいる。1人ひとりが相手のことを考えた発言・行動をすることが大切」。声問小6年の黒田智成君が「平和で安心できる居心地の良い学校にしたい。そのためには1人ひとりの良いところや個性を認め合う」などと述べた。
事件から40年の節目として「愛と平和と音楽と」の全体合唱や、平和への思いを込めた風船を飛ばす「バルーンリリース」。このあと平和への決意、子育て平和運動の一層の発展に願いを込め、宗谷岬公園内に設置されている祈りの塔、世界平和、子育て平和の3つの鐘を鐘打した。
この事件で長男夫婦を失い、声問の海岸で迎え火や最北野焼き・慰霊の火祭り、平和祈念の灯などが続けられるきっかけづくりに奔走した故・岡井仁子さんの3男・淳さん(福岡市在住)が式典に出席し「20数年ぶりに訪れ、新たな気持ちになった。ここで祈りを捧げることに意味があると感じた」などと語った。
(梅津眞二、原拓弥)