【利尻富士】
利尻富士町出身で、現在は札幌市の三省堂書店係長として勤務する工藤志昇さん(35)が「利尻島から流れ流れて本屋になった」(発行所は㈲寿郎社)と題した本を出版。発売日の10月18日以降、地元や家族などについての温かなエピソードが詰まった1冊は、既に利尻島内で大きな話題を集める。今後も多くの人が手にとって読んでほしいと願いを込めている。
工藤さんは、利尻富士町で生まれ、利尻小、鬼脇中を卒業。その後利尻島外に出て、札幌市内の高校を経て石川県金沢大学文学部を卒業。文学に関する研究者を目指したが、その夢を途中で諦め、再び札幌へ戻って三省堂書店で勤務。現在は、児童書や学習参考書等を担当して働いている。
中学卒業後から島を離れ、地元ではない場所で生活する時間の方が長くなった工藤さん。
1年に数回は帰省はしているが、何となく〝お客様″のような感覚になり、少し寂しさを感じていた。そうした影響などから、地元への思いを綴った本を執筆した。
168頁で20編でまとめた内容。子どもの頃、ウニ漁を手伝ったことなど、島ならではのエピソードを書いており、地元民には共感出来るような部分もありつつ、思わず笑えるような内容も見られる。
島内にあった少年野球チームで得た経験、子どもの頃から好きだった本について深く考えたこと。離島ならではの狭いコミュニティに助けてもらったり、逆に助けることもあった出来事。
中学卒業後に島を離れたが、また地元で暮らすことにも憧れがあるとも触れており、この1冊で数多くのストーリーを楽しめる。
工藤さんは「それぞれが子どもの時を思い出すような本にもなれば。読んでホッコリとしてもらえると嬉しい」などと話した。
利尻島内では各書店、商店で販売。寿郎社のネットストア、Amazonなどのネット販売でも取り扱っている。価格は税込みで1870円。
(原拓弥)