【名寄】
北海道縦貫自動車道士別市~稚内市間「北・北海道高速交通フォーラム」が、12日午後5時からエンレイホールで開かれた。名寄市病院事業管理者の和泉裕一氏の基調講演を聴くなど、多くの地域住民が、命を守り、地域振興の要となる道の早期開通への思いを新たにした。
北☆北海道に高速道路を実現する住民の会(高橋伸典代表)などの主催。フォーラムは現在整備が進められている道縦貫自動車道士別市~稚内市間のミッシングリンク(分断された道路)早期解消へ、地域住民の機運を高めるとともに、地域の願いを中央へ届けようとするもの。
フォーラムには道北沿線自治体の首長をはじめ、地域住民ら600人が出席。主催者を代表し、高橋代表が「広大な北海道において、救急、物流、観光、災害など高速道路の必要性は多岐にわたる。高速道路の整備割合は、全国で86%に上るが、北海道は65%と遅れている。地域住民の安全安心な生活のために、ミッシングリンク解消に向け、今フォーラムで地域の機運を盛り上げたい」と挨拶。
来賓の東国幹衆議院議員、北海道開発幹線自動車道道北建設促進期成会長の加藤剛士名寄市長、一般国道40号名寄稚内間整備促進期成会長の工藤広稚内市長、柿崎恒美北海道開発局長が「フォーラムがきっかけとなり、道北地域の高速道路整備が推進されることを願っている」と挨拶。
講師の和泉氏が「北北海道の地域医療と高速交通~道路事情が地域医療を左右する~」をテーマに基調講演。
道北3次医療圏の北北海道における地域医療の現状について、人口10万人に対する医師数の割合で、「国平均(246.7人)、全道平均(243.1人)は大きく変わらないが、北海道は札幌、旭川などの地域に医師が偏在し、北北海道は全道平均を大きく下回っている」と説明。
北北海道の地域医療の特徴として、少数の常勤医で支えている病院が多いこと。また、小規模な自治体病院が多く、民間病院は少ないこと。広域で長距離搬送が多いことなどを解説。
北北海道の救急搬送方法で、ドクターヘリ、地元救急車、ドクターカーの運用が主とし、「ドクターヘリは有効だが、天候や日没時などは飛べず、救急車やドクターカーなど陸路搬送は重要な手段」とし、搬送時間の短縮や安全・安定走行が可能な道路整備が必要であることを強調。
また、地域医療を支える派遣医師の移動においても、業務遂行と安全確保の面からも道路整備が必要とし、「道路事情は北北海道の地域医療を左右する重要因子の一つ」と訴えた。
続いて、地域からの提言では、長谷川良雄名寄商工会議所副会頭が、地域振興、農産品の物流などの観点から、高速道路の必要性を訴える藤田健慈会頭のメッセージを代読し、「人間で例えると、道路は栄養を運ぶ血管で、高速道路は動脈である」と一日も早い北海道縦貫自動車道の開通を訴えるなど、出席者は思いを一つにしていた。

