選りすぐりの〝利尻富士〟百景まで残り1年 斉藤マサヨシさん 樺太記念館で写真展

稚内市教委では、9月30日まで樺太記念館で、市内在住の写真家・斉藤マサヨシさんによる写真展「利尻富士百景2023」を開催。1年に10点を展示する企画で9年目。〝百景〟の達成まで残り1年となり、斉藤さんは「利尻富士は色んな姿を見せてくれるところが面白い。この風景は地元が誇る大切な宝物。写真を通じて市民の方に伝えていきたい」と話す。

斉藤さんは幼い頃から日本海に浮かぶ利尻山を見て育ち、写真家として2015年から利尻山の写真展を10年かけて行う「利尻富士百景」に取り組んでいる。9回目を迎えた今年も多くの写真の中から10点を選んだ。
今回は、利尻山と輝く星や面白い形の雲などをテーマにした作品が多い。幌延町のペンケ沼で撮影した「ヴィーナスと北斗七星」では日没直後を狙い、美しい星の輝きや空の明と暗の見事なコントラストを表現した作品。「若干の波があり、水面に北斗七星を写し出せなかったのが心残りです」と斉藤さん。さらに礼文町の北のカナリアパークで映画のロケに使われた廃校舎と銀河、流星群を捉えた圧巻の1枚も。ワイドのレンズを使い、夜に輝く利尻山を写した。

このほか、夕日ヶ丘パーキングで見事な青空に雲が掛かった様子や、勇知川の近くで厚い雲の切れ間から差す光が川面に反射する美しい光景も。斉藤さんは「60年以上稚内に住んでいるが、こんな雲は初めて見た」というほど。また、JR宗谷本線を走るピンク色の車体が特徴的な「はまなす編成」を豊富町の牧草地付近で撮影。スローシャッターで列車の速さを巧みに表現し「何年も前から狙っていた。粘り強く待って良かった」と笑顔。

風が強い日にクジラ雲を鮮明に捉えた写真や小平町でカモメがニシンを捕る場面、大沼でマガンが一斉に飛び立つ瞬間なども。また夕方に撮影したカモメと金星の写真では、スマートフォンの「アイフォン」のカメラ機能を上手く使い「一眼レフと同じように撮影できた」と。

来年に向け、斉藤さんは「当初は10年続くか不安もあったが、ここまで来た。来年に百景を完成させてひと区切り。多くの方に見て頂きたい」と話す。
作品は樺太記念館の開館時間(午前10時~午後5時)であれば無料で鑑賞できる。