今回は下川町在住の佐藤眸さん(60代後半)からいただいた、馬との思い出を紹介したい。農作業に馬がたくさん使われた時代、農家育ちの佐藤さんにとって、馬はとても身近な家畜だったと言う。
父は大の馬好きで、馬を飼わなくなってからも馬喰(ばくろう=馬の売買・仲介などを業とする人)から子馬を預かり、育てていたそう。
子どもだった佐藤さんたちの仕事と言えば、馬の寝藁(ねわら)を押し切りで切ることや、デントコーンをカッターという機械で切ること。危険な仕事だが、けがもなく、慣れてくると遊びの一部のように、文句を言わずやったそうだ。
祖母はとてもユニークな人だったそうで、佐藤さんは今でも地震というと、思い出すことがあるらしい。
それは佐藤さんが小学6年生のとき。震度2,3度の地震があり、子どもだった佐藤さんにはとても恐ろしい時間だったが、家には生後3か月の姉の子どもが居て、祖母はその子を抱き「馬糞(ばふん)の上に行く」と言った。実際に行くことはなかったが、佐藤さんは「そんな笑い話のようなことが思い出されます」とつづる。
積まれた馬糞の上は安全と考えたのか、子どもたちを笑わそうと思ったのか、明確な理由は分からないが、いずれにしても、祖母は子どもたちを安心させたかったのだろう。馬のある暮らしを感じる素敵な思い出を、ありがとうございます。
<今回は名寄新聞の2020年6月16日付掲載記事を基に再構成しました>
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