留萌振興局による直播栽培米「えみまる」の知名度向上PR事業が19日、留萌合同庁舎4階の食堂「キッチンRuRu」で行われた。労働力削減やゼロカーボン推進の一助となる省力化栽培に適した品種の周知を図る取り組みで、るもい農業協同組合の協力で実施。地域住民や同庁舎に勤務する職員らが「えみまる」を使ったメニューに舌鼓を打ったほか、同食堂内に掲出された従来の苗から育てる米と直播栽培米との違いなどを説明するパネルに見入り、理解を深めた。
農家の高齢化や担い手不足などによる水田作付戸数の減少と、作付面積を守るのに伴う一戸当たりの作付面積増加は、道内や管内で生産される水稲が抱える課題の一つとされている。
特に雪の残る時期からハウスで苗を育てる「育苗」と、育てた苗をほ場に植える「田植え」にかかる労力は非常に大きなものがあり、解消に向けてはICT(情報通信技術)の活用などによる農作業の省力化が不可欠とされる。
「えみまる」は、水田に直接種をまくことにより労働力の削減やゼロカーボンの推進、省力化栽培を図るために改良された品種で令和2年にデビュー。苗を植える従来の方法に比べ、育苗ハウスの設置や苗の栽培などで発生する二酸化炭素といった温室効果ガスを25%程度削減することができるほか、道内の主流品種の一つである「ななつぼし」並みの食味を獲得している。所管の農務課によると、管内でも南部を中心に一部の農家が作付に取り組んでいるという。
PR事業は、直播品種である「えみまる」を地域住民に知ってもらうとともに、管内の農業生産の現状にも理解を深めてもらおう―と初めて企画した。
この日は、同食堂のA~C定食をはじめ、カツ丼、カレーライス、おにぎりといった白飯を使う全てのメニューで、通常使用している「ななつぼし」を留萌産の「えみまる」に代えて提供。
午前11時に食堂がオープンすると、地域住民や振興局、留萌教育局の職員らが次々と食堂を訪れ、農務課や留萌農業改良普及センターの担当者から「えみまる」についてやこの日の取り組みに関する説明を受けたあと、券売機で食券を購入。この日の定食は「豚肉の胡麻焼き定食」、「鯖の味噌煮」や「塩ラーメン&小ライス」と、ご飯の進むメニューばかりとあって、利用者は笑顔で箸を進めていた。
初めて「えみまる」を食べたという市内の事業所に勤務する会社員は「粒がしっかりとしており、炊き方もあるだろうが思ったよりも柔らかく、甘みもあった。普段は『ななつぼし』を食べているが、言われなければ違いが分からないと思う」と語った。
留萌振興局の工藤公仁局長も「(炊いても)粘り気が少なく、チャーハンやカレーライスなどとも相性がいいように思う。今後の可能性をすごく感じる品種」と話していた。
同課や同センターでは、今後も機会を捉えて同様のPR活動を展開するとともに、関係者や生産者とともに「えみまる」の魅力をアピールする機会を作りたい―としている。
Web掲載日2023年1月23日
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