BOOK LAB. 書籍紹介
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エヌ氏の遊園地
星新一はかわいい、と知人の一人が言っていた。星新一の容姿ではない。彼の作品の世界観のことである。星のショートショートは、ブラックユーモアに富んだ作品が多く、一見して「かわいい」とは離れているように思われる。しかし、なぜか、私の中で知人の言葉が腑に落ちた。
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世界の鳥 BOOK LAB.書籍紹介
幼い頃、博物館の世界をポケットに入れて持ち歩くことを夢想したことがある。
本書はまさに、それを叶えてくれる一風変わった図鑑だ。『世界の鳥』と題して、私たちに身近な鳥から -
ジェンダー写真論 増補版 BOOK LAB.書籍紹介
著者の笠原美智子(現アーティゾン美術館副館長)は写真を専門に長く学芸員を務めてきた人物である。社会学を学ぶために留学したアメリカで写真と出会い、帰国後から数年前まで東京都写真美術館や東京都現代美術館の学芸員として日本の写真美術の展示の最前線を走る続けてきた人物である。本書は彼女がこれまで手がけてきた展示やエッセイの中でも、特にジェンダーに関する論稿を集めたものだ。
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さみしいときは青青青青青青青 ——少年少女のための作品集 BOOK LAB.書籍紹介
かつて一世を風靡した寺山修司という人物は、今でもサブカル好きの若者達からの人気を集めている。
前衛演劇やアヴァンギャルドの代名詞としてよく知られ、戦後日本の若者文化を率いた彼だが、なぜ没後40年経った現代でも名を残しているのか。 -
あなたの人生の物語 BOOK LAB.書籍紹介
もし自分に自由がないと分かったら、人はどうするだろうか?
今回は、現役最高のSF作家の一人と表されるテッド・チャンによる中短編集をご紹介したい。 -
おんなのこはもりのなか BOOK LAB.書籍紹介
「ぼく演劇作家なのだけれど、ぼくの作品に出演するのはほとんどが女子だ。理由は明確である。ぼくが四六時中、女子のことばかりかんがえているからである。…(中略)…とにかく女子のことばかりをかんがえすぎていて、頭が腐っているのだ。」(藤田,14)
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ふたりはともだち BOOK LAB.書籍紹介
「がまくんとかえるくん」シリーズは、今年Apple TV+がアニメーション化をしたことで話題にもなった名作絵本だ。特に、シリーズ一作目『ふたりはともだち』に収録されている「おてがみ」は、小学校の教科書に長年掲載されており、読んだことのある人が多いのではないだろうか。
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今井龍満 RYUMA IMAI ──偶然を生きるものたち 1999-2023
こちらを見つめる、ダイナミックながらもどこか間の抜けた表情のライオン。表紙がたいへん目をひく本書は、様々な生き物を題材にする日本人画家・今井龍満の作品を納めた図録だ。
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Anatomie de l’Art Insolite d’Eimi Suzuki 悍ましくも美しきものの解剖学 スズキエイミ作品集 BOOK LAB.書籍紹介
スズキエイミの3冊目(国内出版は2冊目)の作品集の表紙は《In my heart》(2020)という絵画作品が飾っている。初めてスズキの作品を目にする人にもその優美で異質な様を披露している。
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桃を煮るひと BOOK LAB.書籍紹介
「食エッセイの作者」と聞いて、どのような人を想像するだろうか。