地域とともに歩む名寄市立大学 4

4 地域貢献

短大設置後20年が経過し、地域が抱える課題についても、栄養・家政問題から過疎問題に変化してきたことから、1982年3月に短期大学内に「道北地域研究所」が設置された。
同研究所は①地域社会の現実的課題に関する総合研究②地域の研究者・研究活動の交流及び集約⓷地域課題に関する資料及び情報の収集④地域課題に関する専門的教育などを目的とし、当初は学長が所長を兼務した。
道北地域研究所が設置され、地域課題の共同及び個人研究、資料・情報の収集、研究会・研修会の開催などの事業・研究活動が促進された。同研究所は、2006年度の4年制化後も活動を継続し、教育研究活動における地域貢献が行われてきた。
児童学科が4年制の社会保育学科に転換した16年度に、同研究所は発展的に解消され、現在の「コミュニティケア教育研究センター」が誕生した。
同センターは、「教育」「研究」「地域貢献」を3つの柱に、学内の全教員が所属している。
荻野大助センター長に、①設置後約8年間の取り組みの総括と、②本年度の具体的な取り組みについて話を伺った。
① 約8年間の取り組みの総括
21年9月にセンター長に就任して2年4カ月。この間、コロナ禍もあって活動が制限されてきました。継続して活動できたのは、「学生の有償ボランティア活動」や「子ども支援プロジェクト」「公開講座」(一部)などで、十分な活動ができませんでした。
21年度に「教員シーズ集」を発行(ホームページに掲載)し、各教員の研究分野などを分かりやすく、市民の皆さんにお知らせすることができました。コロナが5類に移行したこともあり、大学と市民との懸け橋の役割を果たしていきたいと考えています。
② 今年度の主な取り組み
センター長に就任以来、Nスポーツコミッションなどと一緒に、スポーツと健康・食の取り組みに力を入れてきました。スポーツ合宿メニュー「勝ち飯」の開発や、西條名寄店との商品開発プロジェクトなど、市民の皆さんに「スポーツと健康・栄養・食」などへの関心を高めてほしいと思っています。公開講座についても、今年度は5回の開催を予定しており、各教員の研究テーマなどを市民の皆さんに還元できればと考えています。また、課題研究については、「名寄市と連携した保育・子育て支援事業」など、地域や市民生活に関わりの深い11件を採択しました。地域の課題などに対して、教員と地域の皆さんが一緒に考え取り組んでいければと思っています。
その他、公開講座・セミナー・研修会等の開催、学生のボランティア活動支援、地域との交流事業など多くの活動を実施していますので、市民の皆さんには、問い合わせや相談など遠慮なく連絡してほしいと思っています。
名寄商工会議所の藤田健慈会頭は、「大学という最高学府を名寄市は持っている。市内全域をキャンパスとして活用し、市民との交流をもっと進めてほしい」と期待を込めて話している。