多世代を馬でつなぐ高校生

池田さんとハナ(本人お気に入りの1枚)


 2021年度当時・下川商業高校3年の池田光希さんが、筆者の飼うドサンコ(北海道和種馬)のハナと課題研究に挑んだ。
 2021年10月16日(土曜日)に、ハナとの触れ合いを兼ねたSDGs(持続可能な開発目標)のスタンプラリー、ハナの放牧による世代交流に取り組み、心温まるひとときを生み出した。
 池田さんは上川町出身。下川商業高へスキージャンプで留学し、国内高校生トップクラスで活躍。早稲田大学に合格するなど、地道な努力を重ねている。
 課題研究は、生徒一人一人が個別で展開し、自分の好きなことから、地域でできることを探究。池田さんは「体を動かすこと」や「動物と触れ合うこと」が好きで、町が取り組むSDGsをテーマに、歩き回るスタンプラリーと、ハナとの触れ合いを考えた。
 9月下旬に筆者と連絡を取り、ハナを飼う理由、ハナと活動してきたことを聞き取り、翌週にはハナと乗馬や引き馬、ブラッシングなどで触れ合って理解を深め、具体的な企画を練っていった。
 部活や受験勉強に取り組む中、限られた時間で、積雪シーズン前の実現を目指した。多くの人と対話を進めながら、諦めることなく準備を進め、3週間で実施に至った。当日は天気も味方し、晴天に恵まれた。
 スタンプラリーは、紅葉が見頃を迎えた町内の桜ケ丘公園・万里長城で開催。スタンプをハナのおやつ、ニンジンで作るなど工夫した。小学4~6年生対象で募集したが、ハナを見に来た親子なども、池田さんの積極的な呼び掛けで参加し、15人が八つのスポットを巡った。
 昼には特別養護老人ホームあけぼの園庭に移動し、ハナを簡易柵で放牧。町内の小学生と、あけぼの園や生活支援ハウスを利用する高齢者が、馬を通して集まり触れ合った。
 小学生たちは、周辺で取ってきた草を高齢者に配り、ハナに与えてもらい、一緒に餌あげを楽しんでいた。
 外出が難しい入居利用者も、屋内の窓から見られるように池田さんや筆者、残った小学生たちと、ハナを連れて施設周辺を回り、窓越しに楽しんでもらった。いずれもマスク着用、手指消毒など新型コロナ感染症対策を徹底して行われた。
 池田さんは「下川町の人たちがどれだけSDGsに詳しいか、広めているか分かった。あけぼの園では自然と世代間交流が生まれ、ハナちゃんの力は偉大だった」と振り返る。
 高校生があけぼの園、桜ケ丘公園センターハウス「フレぺ」、小学校、町教育委の方々などにも支えられ、地域の方々と力を合わせ、世代交流の場を実現した。なんと素敵な活動だろう。池田さんとハナの思い出エピソードをこの場につづる。

小学生と高齢者が交流した「馬のふれあい放牧」

 <今回は名寄新聞の2022年1月24日付掲載記事を基に再構成しました>

お知らせ:5月17日(金曜日)午後7時半からNHK総合(道内放送・27分)北海道道で、どさんこハナがつなぐ下川の人々を描いたドキュメンタリーが放送されます。NHKプラスでインターネット配信から観ることもできます。