「ドサンコ」は「ばん馬」ではない

 筆者は「ドサンコ」(北海道和種馬)を飼い始めたが、馬の最盛期を生きてきた人は「ドサンコ」を知っているのに、60代以下になると知らない人が多い。それどころか「ばんえい馬」(ばん馬)をドサンコと勘違いしている人もいる。
 「ばん馬」は、ばんえい競馬や馬搬などで北海道でもおなじみなのだが、フランス、ベルギーなどをルーツとする外国馬であり、いくつかの種が混ざった馬。「ドサンコ」(北海道和種馬)とは違う馬である。
 一方、ドサンコは体高130㌢~140㌢、体重300~400㌔の小柄な馬で、数少ない日本在来馬の一種。
 東北の南部馬を先祖に持ち、江戸時代、ニシン漁や昆布漁のために北海道へ渡った南部藩の人たちに、運搬手段として連れられ、冬の間は北海道の森に置き去りにされた。
 積雪の中からササを掘り起して食べ、厳しい冬を乗り切り、春になればまた漁で訪れた人たちに集められた。越冬を繰り返しながら、耐寒性があり粗食に耐える「ドサンコ」が誕生したようだ。
 森林整備で厄介になるササを好んで食べ、調教されていれば温厚で、側対歩(同じ側にある前後の脚を対に動かす)という独特の反動のない歩き方をするので乗りやすい。
 北海道開拓期には農耕馬や荷役馬として広く活用されたが、近年個体数が1000頭まで減少している。こういった現状から飼うならドサンコと決意していた。下川に住んでいる多くの人に、北海道の暮らしや森づくりの原点といえる「ドサンコ」を知ってもらいたい。

<今回の記事は2016年1月11日付名寄新聞に掲載された記事を再編成しました>