「運命屋」完成披露上映会 NY映画祭にノミネート ミッキーさん、広山さんら登場

【名寄】

ミッキー・カーチスさん、広山詞葉さん(兼プロデューサー)主演のオール名寄ロケ短編映画「運命屋」(脚本、監督・森田と純平さん)の完成披露上映会と出演者トークイベントが、9日午後3時からエンレイホールで開かれた。今回が初めての上映で。ミッキーさんは「本当にお世話になった。名寄に来て良かったとつくづく思う。世界中の人が名寄を知ってくれたらいいなと思う」と語った。
ミッキーさんは2022年、名寄へ移住。昨年春に短編映画が企画提案された。
 作品は、元ミュージシャンの老人をミッキーさん、人の記憶と命を管理する「運命屋」の女性を広山さんが演じ、人生で一番大切なものは何かを自身に問う内容。俳優の橋爪功さん、甲本雅裕さん、伊原卓哉さんらも出演。上映時間は25分。
 ミッキーさんが歌う主題歌「面影ノスタルジア」は作曲家の細野晴臣さん作曲、森田とさん、細野さん作詞。劇中の音楽は音楽プロデューサーのSUGIZOさんが担当した。
 オール名寄ロケで、昨年10月末にJR風連駅、市役所風連庁舎、道立サンピラーパーク、グランドホテル藤花などで撮影した。
 ニューヨーク・インディペンデント・シネマアワードで、ミッキーさんが最優秀俳優賞、広山さんが最優秀プロデューサー賞を受賞。ニューヨーク映画祭にもノミネートされ、今月28日に受賞発表が行われる。
 上映会は名寄フィルムコミッション協議会(栗原智博会長)が主催。市内外から応募のあった712人の中から抽選で500人を招待した。観衆の温かい拍手を受けてミッキーさん、広山さん、伊原さん、監督の森田とさんが登場。「運命屋」が初めて上映された。
 名寄の印象で、森田とさんは「運命の選択のシーンで、本物の霧が立ち込めて幻想的なシーンとなった。名寄は空や風を感じさせる」。広山さんは「サンピラーパークの夕日が本当にきれいで、そのままたたずんでいたいくらいだった」。
 伊原さんは「名寄は空が広く、広大な土地もすてき」。ミッキーさんは「東京から名寄に帰ってくるとホッとする。土や草、空がある」と語った。
 また、ミッキーさんは「映画のどこが印象的、魅力的か―と聞かれることが多いが、ワンカット、ワンカットに命がかかっている。『ここだ』とは言えない」と訴えた。
 劇中の歌は撮影と同時に歌唱しており、森田さんは「その場所で、その時の感情で歌ったものを、そのまま使っている」と話す一方、ミッキーさんはスタジオで歌うと思っていたとのことで「『今歌え』と言われ、『聞いてないよ』と思った。無理やり歌わされた」と笑顔で語った。
 橋爪さんのビデオメッセージが上映され、ミッキーさんは「橋爪が出てくれて、うれしかった。いると、いないとでは重みが違う。船のいかりみたいなものだ」と感謝した。
 ミッキーさんの愛犬・ニンジャも登場。撮影では一発OKだったとのこと。
 最後に森田とさんは「物語をつくる時、記憶がその人の命だと思って書いた。自分の大切な人や物、大切な記憶はあるはず。人生は記憶そのもの」。
 伊原さんは「人と人はいろいろな運命、ご縁がある。名寄の温かい皆さん、スタッフと出会えて、素晴らしい運命と感じる」。
 広山さんは「全ての運命は名寄で撮影したこと。撮影地が違うとテイストも違う。海外で評価されることがうれしい。本当にたくさんの方から助けていただいた。皆さん一人一人が自分の作品のように支えてくれた」。
 ミッキーさんは「今日6月9日は大切な『ロックの日』。中身はさんざん言ったよ。映画の話を広めながら、今後も上映したいので見てほしい」と呼びかけた。
 「運命屋」は、第1回北海道国際映画祭で上映されることになっており、8月から10月まで道内7カ所で巡回。名寄では9月21日から23日まで同ホールで上映会が開かれる。