なよろ市立天文台 星や宇宙へ理解深める 「星まつり」に多くの人出 マンガ「市井の研究者木原秀雄」トークも

【名寄】

なよろ市立天文台きたすばる(村上泰彦台長)の「星まつり」が、20日午後2時から行われ、多くの人でにぎわった。
開会式で、村上台長が「24時までの長丁場ですが、今日一日楽しんでください」と挨拶。山田義弘名誉台長も挨拶した。
開会式後の当たりくじ付きパンまきには、村上台長、山田名誉台長、天斗夢視副代表の藤野政則さんが屋上に上がってパンをまき、集まった子どもからお年寄りまで多くの参加者がパンを拾った。
参加した南小3年生の岡崎瑠依さんは、「天文台のクリアファイルが当たってうれしかった」。同じく3年生の成吉望琉(みる)さんは「星座の早見盤が当たった。家に帰って楽しく作りたい」と、それぞれ笑顔で話していた。
日食グラス工作、望遠鏡工作では多くの子どもたちが参加。同台職員の助言を受けながら、望遠鏡などを順次組み立てていた。
4時半からは、ふるさとの偉人マンガ「市井の研究者木原秀雄」出版記念企画として、作者と関係者のクロストークが開かれた。
執筆者で中川町在住の八ツ目青児(本名・三井遥佳)さんは、当日の出席ができなかったことから、事前にリモートで村上台長、佐野康男前台長と対談し、収録したものを公開した。
この中で、三井さんは「以前に名寄市から他の偉人の絵本の作成の仕事をしたことがあったが、今回は、地元の偉人ということもあり、描き方など3カ月くらい考えた」と話し、最終的に「良いところに着地できたのではないか」と語った。
木原さんの家族との座談会に出席できたことによって、木原さんに対するイメージが「ユーモアもあり、宇宙に対して、多くの人と共有したいとの思いが強く伝わってきた。息子さんとお会いできたことも、マンガのリアリティに繋がった」などとユーモアを交えて語った。
また、後半に登場する佐野さんについては「佐野少年のワクワク感、エネルギッシュなところが描けて良かった」などと話した。
その後、村上台長の司会で、佐野前台長と木原さんの三女の高谷恵美子さんを交えて、トークを行った。
マンガ本の木原さんについて、佐野さんは「名寄に来る前の東京に住んでいた小さい時から星や宇宙に対する思いが伝わってきた」。また、自身の少年時代について「本に描かれている通りです」と笑顔で語った。
高谷さんは、マンガに描かれている通り「『畳の部屋がレンズの磨き粉で真っ赤になった』と母が言っていました」と話し、ほぼ毎日の黒点観測、退職金を投じての私設木原天文台の開設などについても、「母は反対もせず見守っていた」と語った。
父が病気で入院していて、天文台を市に寄贈する際は「つらかったと思う」。最後に病床で「『悔いはない。母さんで良かった』と父が語っていた」と、感慨深く話していた。
また、司会の村上さんが、マンガ本の後半で、佐野さんを後継者として託したことについて問われ、佐野さんは「木原先生から『任すよ』と言われ、自分の決意が固まった」と語った。
最後に、木原さんがメインの研究テーマとしていた太陽の黒点観測について「年間304日の観測というすごい記録が残っている」などと話し、2030年は名寄でも金環日食が見られるので、関心を持ってほしいと参加者に呼びかけた。
その後も、「はるかと家来たち」の音楽ライブ、プラネタリウム観望、ピリカ望遠鏡による夜間観望会などが実施され、多くの参加者が、星や宇宙について理解を深める一日としていた。