モニタリングや避難誘導など 名寄市街地でクマ出没想定 ドローン活用して共同訓練

【名寄】

ドローンでクマを追跡し、
カメラでモニタリング

市街地でのクマ出没を想定し、ドローンを活用しての共同訓練が13日、名寄自動車学校ドローンスクールで開かれ、カメラによるクマのモニタリング、スピーカーによる避難誘導、ハンターとの連携などで訓練を行った。
 名寄市、名寄自動車学校、名寄警察署は4日、市街地などでのクマ出没時にドローンを活用し、共同で事態に対処する内容の協定を締結した。
 実際にクマ出没が発生した際の円滑な協働と、住民の安全確保を図ることを目的に、今回初めて共同訓練を実施。市、同学校、同署をはじめ、名寄市有害鳥獣駆除員、同署管内の町村担当職員らが参加した。
 開会で米村和信同署長は「クマ出没のニュースが後を絶たない。目撃情報が増え、クマが市街地に近づいている危機的状況。4月30日に美深警察庁舎で緊急会議を開き、ドローンが有効活用できないか検討し、3者で協定を結んだ。関係機関が集まり、クマ対策、手法を確認し、連携を深めたい」。
 和田敏明同学校管理者は「ドローンを扱う者として、クマに対する訓練は初めての試み。関係者の皆さんと試行錯誤し、効率的なクマ対策をしたい。専門の知識、経験をもとにクマによる被害を減らしたい」。
 橋本正道副市長は「クマは賢い動物といわれ、息の長い取り組みでクマを駆除し、市民の安全安心な生活を守るため、危機感を持って対処したい」と挨拶した。
 訓練は、森林から住宅街にクマが近づいたことを想定。大型のハンタードローンと小型のドローンを使用。
 出没したクマが目視確認できない箇所で、ドローンのカメラによるモニタリング。ドローンのスピーカーを使用して住民を避難誘導するための広報。ハンターと警察、市の連携対応を実施した。
 草むらに隠れたクマの着ぐるみをドローンで追跡。ドローンは地上80mほどで飛行させ、カメラでクマを監視するとともに、個体の大きさや動向をモニタリング。さらにスピーカーで住民避難を呼びかけた。
 モニタリングをもとに、ハンターと連携して現場へ。クマと30mから50mほどの距離ならば射撃できることを確認した。
 訓練中は雨が降っていたが、雨脚が強くなると、飛行中に機体が故障する恐れがあるため、大雨時にドローンは使用できないという課題もある。
 訓練終了後、一般社団法人無人航空機操縦士養成協会(DPTA、京都府福知山市)の志村伊織代表理事は「京都ではシカやイノシシの被害が多い。2年前に猟師となり、狩猟ではドローンも飛ばしている。猟師の高齢化が進んでおり、ドローンを有効活用していきたい。活用方法は未知数だが、ハンタードローンが広まっており、クマ対策でも効果が出てきている」と話し、参加者たちはドローン活用の効果に期待を寄せていた。

ハンターと連携し、現場で射撃の訓練を行った