下川小学校(高舘正司校長)の1年生17人が「生活科」で、筆者が飼うドサンコのハナ(馬)と継続的に触れ合う授業を展開。昨年8月23日から今年2月20日まで10時間の授業と休み時間を使って実施した。
活動内容は担任の勝本真帆教諭に、1年生のやりたいことを聞き取ってもらいながら決めた。
以前の話(こちらをクリック)では、学校敷地内で4回(5時間)にわたって「ハナへの餌あげ・ブラッシング」「乗馬」「ひき馬・調馬索の見学」「馬糞(ばふん)の活用」に取り組んだことに触れたので、今回はそれ以降(10月以降)に触れたい。
昨年10月16日から18日までの日中もハナを小学校で放牧し、中休みは希望する1年生に「ひき馬」体験、昼休みにブラッシングや餌あげなどの触れ合いを実施した。
ハナとの5回目(6時間目)の授業は10月18日、学校内にハナをつなぐ場所をつくって「蹄(ひづめ)」の掃除と「削蹄」を実演。1年生に蹄の底や切り取った蹄、道具にも触れてもらった。
積雪のある冬はハナを放牧している下川町南町の美桑が丘で、冬の体験を盛り込み実施。6回目(7・8時間目)は今年1月27日に「馬そり乗り」を行った。
前半は1年生に1回2往復(2分)ずつ、そりの前方に一人ずつ乗ってもらい、筆者が後方に乗ってハナを走らせ、スピード感ある馬そりを楽しんでもらった後、1年生の持参したおやつをハナに与えてもらった。
後半は筆者がそりに乗らずに手綱で操りながらついていく形で、1年生に3人ずつ乗ってもらい、3回6往復ずつの馬そりを体験してもらった。1年生たちで協力し合って態勢を工夫し安定させる様子が見られた。1年生の乗る態勢が整ったらゆっくり歩き、1年生が望む場合は、十分な態勢を整え加速も入れた。
動物と一緒に心でつながりながら、物を運んだり、移動したり、遊んだりすることは、自分だけでやるのとは違った楽しさがあり、優しい気持ちになれることを体感してもらえたら嬉しい。
勝本教諭は「児童たちは、ハナちゃんの馬そりに大興奮。小峰さんの掛ける声を聞き、応援団のように『なみあし!なみあし!』と声を掛け『馬そりの風が心地よかった』『もっとやりたい』と話し『ハナちゃんは力持ち』と改めて実感していた」と語る。
7回目(9・10時間目)は2月20日、1年生に冬毛のハナに裸馬(鞍なし)で乗って、馬の体温を感じてもらう体験と、1年生の質問に答える授業を同時進行。冬毛と夏毛の違いも感じてもらった。
勝本教諭は「ハナちゃんの冬毛は夏と比べ、フワフワしてとても暖かく、体温をより実感でき、児童から『ハナちゃん、温かい』と自然と笑みがこぼれていた。ハナちゃんの温もりから『全ての生き物には命がある』と感じることができた。児童たちの興味関心が高く、事前に考えたこと以外の質問も多かった。長期にわたってハナちゃんと関わりがあったからだと思う。みんなハナちゃんが大好きになった」と話す。
授業を終え「きょうが最後と話したときは、みんな寂しがっていた。学習目標『生き物が自分と同じように生命をもっていることや成長していることに気づき、生き物への親しみをもち、大切にできるようにする』が達成できたと思う。1年生にとって、少し難しい内容もあったと思うが、きっと感覚的に『ハナちゃんも生きている』『全ての生き物には心がある』『互いに思いやることで、互いに優しくなれる』と分かったと思う。1年生の生活科でハナちゃんと関わることは終わったが、下川町にいる限り、関わることができるので、今後もいろいろな形で触れ合ってほしい」と振り返る。





<今回は2025年3月15日付名寄新聞掲載の記事を基に再構成しました>