下川町ジャストラ研究会 “ごみゼロ”先進事例報告 徳島県上勝町、斗々屋京都本店を視察

【下川】

「ごみゼロ」を目指すまち・徳島県上勝町などを視察した報告会が、6月26日午後6時半から町総合福祉センター「ハピネス」で開かれ、町民ら約40人が出席した。
下川町ジャストラ研究会が主催し、同会の川島里美代表が挨拶。
成田菜穂子さんと佐藤大樹さんが2月26から28日まで、横井雅彦さんと田中由紀子さんが5月24から26日まで、それぞれ同町を視察した報告を行った。
始めに、田中さんが上勝町の概要とごみゼロのマチの取り組みを報告。
上勝町は、徳島県の山間部に位置する人口1365人の小さな町で、平地率は2%、高齢化率は50%を超えている。ミカン栽培が盛んだったが、異常寒波により壊滅。その後、料理を彩る葉や花を販売する「葉っぱビジネス」が有名になっている。
ごみは、野焼きの時代を経て生ごみの堆肥化を推進。同時に分別を徹底し、当初の25分別からスタートし、現在は43の分野で分別を実施している。住民が直接、ごみステーションへ持ち込むことで、収集車による回収は実施していない。2003年には、ごみをゼロにする「ゼロ・ウェイスト宣言」を日本で初めて行った。
ごみステーションでは、「何にリサイクルされるか」「1kgの処理にいくら費用がかかるか」「リサイクルでいくら収入が得られるか」などを住民に分かりやすく表示。昨年は、ごみの販売で200万円の収入を得ている。
田中さんは、「ピンチを“チャンス”と捉えており、下川の少し先の姿のよう」と語った。
次に、横井さんは上勝町のごみ以外の取り組みを紹介。
ボランティアタクシーで移動したことや、昨年、海外から130人以上が視察などで訪れていることを語り、ゼロ・ウェイストセンター(旧ごみステーションをリニューアル)ができ、宿泊や交流が可能となって、視察者の交流人口が増えていることを報告した。
一方、2月に視察した佐藤さんは、上勝町のSDGsの取り組みなどを報告。
同町のSDGs推進委員会(10人)は、町民と役場職員(20代~30代)の半々で構成し、活発な議論がされていたことや、町長へのプレゼンも実施され、スピード感を持って取り組まれていることを紹介した。
成田さんは、同町のごみを出さない取り組みを語り、実現には人のパワーが一番で「一人で終わらせず、複数で取り組むことがマチを動かす」と述べた。
一方、若園佳子さんは、京都市の「斗々屋京都本店」を視察した内容を報告。
若園さんは、下川町内で食料品や喫茶などの店舗の開店を準備していることから同店を視察した。
同店は、日本初のゼロウェイストスーパーとして2021年にオープン。原則、全て量り売りで、マイ容器の持ち込みを基本としている。生鮮食品、納豆、味噌なども量り売りで、観光客はデポジット(預かり)容器などで対応している。また、賞味期限を過ぎた商品も20%オフで販売している。「店も消費者も結構な手間がかかっているが、確実にごみが減ることを実感した」と語った。
最後に、報告者を囲み、質問や下川でできる取り組みについて全体討議を実施。
出席者からは、「生ごみを減らすため、助成を受けてコンポストを使ったが、キツネなどの獣害があった。上勝町はどうか」「3年後に名寄市に完成予定のごみ処理施設は、生ごみの処理をしてくれるのか」「びん類を出すときのごみ袋の扱いは」などの質問・意見が出され、出席者はごみ問題に認識を新たにしていた。