【名寄】
名寄市地域子育て支援センター(管野真奈美所長)主催の「乳幼児の育ちと『いい加減』の子育て」と題した子育て講演会が、5日午前10時半からひまわりらんどで開かれ、親子12組26人が参加した。
講師は、名寄市立大学社会保育学科准教授の傳馬淳一郎さんが務めた。
傳馬さんは、子どもの育ちと環境について、ジェームズ・J・ヘックマン氏の著書「幼児教育の経済学」を参考に、子どもに対する教育投資効果は、乳幼児期の投資が最も効果的で、就学後の教育の効率性を決めるのは、就学前の子育て・保育の質が大変重要と述べた。
具体的には、14歳時点での基礎学力の達成率、留年・休学しないで高校を卒業する率、40歳時点での経済効果(月収2千ドル以上者、持ち家率等)のいずれも、乳幼児教育(保育)を受けた子どもの方が、そうでない子どもに対して、割合が高かったことを挙げた。
子育て・保育の質は、早期教育のような特別な働きかけをするのではなく、至極自然な子どもとの関係性(アタッチメント=親子間の愛情・愛着・ふれあいなど)を築くことが大切であると述べた。
具体的には、知識などの「認知」以上に、コミュニケーション力、忍耐力、包容力などの「非認知」能力を促すことが大切であること。
乳幼児期は、建物を建てる際の「基礎工事」の時期であると述べ、「基礎工事は、建物が建ってしまうと見えなくなるが、しっかりした建物かどうかは、確かな基礎工事なしには考えられない」と、乳幼児期の重要性を指摘した。
最後に、絵本「ままみてて」と「おかあさん だいすきだよ」を読み聞かせ、子どもの「イヤイヤ」は自立の証で、「見て見て!」は、基礎工事のチャンスです。「ついつい切れてしまうのは、間違いなく子育てを頑張っているからです」と、激励も含めて参加者に呼びかけた。
質疑では、「泣かさないようにしているが、どこからが過干渉になるのか?」、「イヤイヤがすごい時は?」などの質問が出され、傳馬さんは、自身の子育ての経験も含めて、丁寧に答えていた。
また、参加者のアンケートでは、「大変勉強になった。頭で理解できても実行できない時がある。子どもを、もっとギュッとしてあげたい」「このような機会がなかったので、参加してよかった。先生の実体験も聞けて、大変良かった」などの感想があり、参加者は日頃の子育てに対する理解を深めていた。