終わりに
これまで6回にわたって町内会、自治会、公区などの歴史や活動状況、課題などについて述べてきた。
名寄市は自主的な組織である町内会。下川町、美深町は、条例に基づき「公区」「自治会」を設置している。
少子高齢化、過疎化による人口減少は、今後も続き、役員の成り手不足などの課題は、解消の見込みが立っていない。
名寄市総合政策部では、町内会が抱える役員の負担軽減や担い手不足への具体的な対策について、①2021(令和3)年度に「町内会課題解決アドバイス事業」を活用しての「10区町内会『町内会公式LINE』の活用」(LINEを用いての広報、回覧などを配信。スマートフォンで広報や回覧を見ることができない世帯には、毎月の広報配布を業者に委託し、班長の負担軽減を図った)②北海道町内会連合会の担い手不足研修会等に参加し、他自治体町内会との意見交換の実施③これまで町内会長宛への郵便物は、各担当部署が個々に発送していたが、昨年12月以降、事務局の総合政策部地域課題担当での取りまとめによる月2回の一括発送―などに取り組んでいる。
近年、地震や大雨などの大きな災害が全国各地で発生している。災害時には、特に、自助と互助が大切で、町内会などの住民組織、ボランティア活動などが特に重要になる。
名寄市では、町内会などの協力を得て防災訓練を実施しており、2023(令和5)年度は7月に東小学校で防災訓練、10月に防災セミナーを開催している。
また、災害時に町内会が自主的に取り組み、相互の連携・協力など、日頃の防災意識の高揚と防災資機材の設置などを目的に町内会の自主防災組織の組織化や活動を支援している。
ヘルメット、スコップ、土のう袋、ラジオ、ストーブ、カセットコンロなどの防災用資機材の購入、防災訓練の実施、パンフレットの作成、防災知識向上のための研修会の開催・参加などを対象に、1町内会当たり6万5000円を上限に支援。23年度は、4組織に19万2000円を助成している。
現在72ある町内会のうち27町内会が自主防災組織を立ち上げており、毎年、3~6カ所程度が届出している。
名寄市総務部防災担当主査の矢島和博さんは、「将来的には全町内会が自主防災組織になってほしい」と願いを込めて話している。
町内会、公区、自治会を取り巻く状況は、今後も厳しい状況が続くと予想されるが、住んでいる住民が参加しやすい活動、楽しめる行事などの実施が、今後も、会活動の原点となるであろう。
同時に、災害は、いつ発生するか分からない。防災意識の高揚のためにも、町内会、公区、自治会活動の充実が求められる。 (松島)
第6部終わり



(2020年10月)