仲良しだった馬と犬の話

積雪の中、調馬策運動をしている筆者の愛馬

 今回は下川町南町在住のSKさん(80代)からいただいた思い出「馬と犬は仲良し」を紹介します。以下、SKさんの思い出から抜粋します。
 これまで使っていた馬は歳を取り過ぎ、仕事中に居眠りをした。じいさんは下川の馬喰(ばくろう)に赤毛の3歳馬と交換してもらい、その馬を連れて来た。私は馬喰に「口を持って歩いて見なさい」と言われ、背中に冷や汗をかきながら歩くと、私と同じに歩くのでホッとした。何日か牛乳の運び出しに使っていた。
 夫は馬を小屋に入れて息子たちに世話を頼み、出稼ぎに行っていた。
 息子たちは風呂敷を首に巻き、流行っていた漫画「バットマン」のように遊んでいたが、馬も楽しくなったのか、小学1年生だった次男の額を蹴ってしまった。ちょうど獣医が牛を診に来ていたが、「人間のほうが大事」とすぐに病院へ連れて行き、大事に至らずに済み「やれやれ」と思った。
 雨の日に牛追いをやっていたら、馬が足を折ってしまった。3日間牧場で寝ていたが、犬も一緒に寝ていた。馬が立てないふりをしているのか、本当に立てないのか、獣医が確認のために馬を棒で驚かせると、犬は怒って獣医にかみつこうとした。
 獣医は「かわいそうだが、こうしているうちに肉質も悪くなる。落としたほうが良いと思う」と話し、集落の人に頼んで馬をトラックに乗せ、馬殺場へ連れて行った。犬は鳴きながら、どこまでもトラックを追いかけて行った。私も泣く。

<今回は2016年3月18日付名寄新聞掲載の記事を基に再構成しました>