地域とともに歩む名寄市立大学8

8 大学院の設置構想

大学では、将来に向けて目指すべき基本方針を示した「名寄市立大学の将来構想(ビジョン2026)を策定している。
同構想の後期実施計画(23年度~26年度)によると、「大学院設置の検討」は、本年度が「保健福祉学部の研究科設置検討」、24年度が「保健福祉学部の研究科設置準備」となっている。
大学内では、「大学院設置検討会」を設置して設置の準備を進めており、当初は、25年4月の開学を目指していた。
検討案では、保健福祉学研究科保健福祉学専攻の2年間の修士課程(入学定員5名)を予定。保健福祉学専攻課程は、栄養学科、看護学科、社会福祉学科、社会保育学科のどの学科を卒業しても入学可能で、また、働きながら大学院に通う人も多いと考えられることから、遠隔授業の実施など柔軟な対応も検討している。
大学院設置に関する申請書類は、教育課程の編成や教員審査など多岐に
わたる。設置申請に係る文部科学省の担当部局への事前相談は、以前は可能であったが、現在は廃止されている。よって、大学では、事前相談に関わる申請書類のチェックなどを「一般財団法人日本開発構想研究所」に委託して実施した。
その結果、①研究分野が栄養、看護、福祉、保育の4領域で構成されており、審査も複数の審議会が対象となる②領域毎にマル号教員(大学院生の講義や学位論文を指導できる教員のことで、一定数の著書・論文が必要)が必要となる③申請後に文科省から出された意見はホームページで公表され、公表された改善事項などは、一定期間に対応できなければ設置が認可されない―などの指摘があった。
指摘事項などを再検討して、各項目の再構築を図る必要が生じたため、開学は、早くても26年度以降となる見込みとなった。
保健・医療・福祉などの分野の専門職の養成を目的とする名寄市立大学にとって、大学院を設置して高度な専門職業人を育成して地域社会に還元することは、開学の理念に基づいた使命であるとも言える。
今後の設置申請は、マル号教員の資格審査など厳しい審査が予想されるため、大学院設置の理念・目的など基本的な考えを含めて再構築し、準備を進めてほしい。
なお、23年4月現在、全国に100ある公立大学のうち、大学院研究科を設置しているのは88大学で、未設置は名寄市立大学を含めて12大学となっている。