地域と共に歩む名寄駐屯地 9

9 終わりに

これまで、名寄市に駐屯地があることで、人口維持、財政及び経済的な効果、都市基盤などのインフラ整備、社会教育を中心とする人づくり、観光・イベントなどへの人的支援など、さまざまな効果とまちづくりへの影響について述べてきた。
駐屯地開設70周年を迎えた今年、改めて、その大きさを感じるところである。
2011年の東日本大震災(約千人を派遣)、16年の熊本地震、18年の胆振東部地震など、大規模災害を含めた災害派遣の任務は、近年の異常気象などを考えると、今後も増大するものと思われる。
自衛隊が、海外での難民支援や救助活動、復興支援などの国際貢献を可能とする法律が制定され、31年が経過した。名寄駐屯地からも、カンボジア、ルワンダ、東ティモール、イラク、ゴラン高原、ハイチ、南スーダンなどの国や地域に多くの隊員が派遣され、さまざまな国際貢献活動を展開している。
同時に、派遣に伴う留守家族などに対して、家族訪問、食事会、動物園ツアーなどの支援を、自衛隊協力会などを中心に実施し、「自衛隊のまち なよろ」にふさわしい多くの活動を行ってきた。
一方で、安全保障環境は刻々と変化しており、昨年12月、国の安全保障に関して、いわゆる防衛3文書と呼ばれる「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」が改訂された。
改訂に伴う自衛隊の役割についても、前回、藤田司令がインタビューで述べたよう、今後、新たな任務などが想定される。
引き続き、多方面からの継続的・発展的な支援が必要であると同時に、駐屯地を有するまちとして、市民一人一人の自覚も必要ではなかろうか。
(第1部終わり)