【美深】
美深町生まれの墨絵詩書家、ル・サロン会員の小林白炎(本名・裕幸)さん(54)は、フランスの国際公募美術展「サロン・ドトーヌ2024」に「白虎=びゃっこ(月光)」を出展し、8年連続9回目の入選となった。今回は12年前に描いた作品で挑戦しており「初期の作品で入選するとは思っていなかった。涙が出るほどうれしい」と喜びを語る。
小林さんは1969年11月24日、美深町の生まれ。名寄高校を卒業後、名寄駅前、風連など上川管内の郵便局で勤務。幾寅郵便局(南富良野町)の局長だった2009年、気軽に訪れやすい窓口づくりのため、特技の書道を生かし、墨絵詩書を始めた。12年2月に郵便局を退職し、墨絵詩書家として活動を本格化。18年5月、同じくフランスの国際公募美術展「ル・サロン」会員に推挙された。現在、旭川市在住。
今回は「白虎(月光)」を出展。この作品は12年に完成させた活動初期のもので、13年の「ポルトガル国際美術展」で入選した作品を再度「サロン・ドトーヌ2024」で出展した。
「新作を出したかったが、構図が浮かばずに描いても捨てていた。納得いく作品が描けず、過去作で挑戦してみた」と経緯を明かす。
初めての過去作による挑戦で、入選の通知を待っていた時に「近年は新作で最高の作品を送っていたので、内心、ダメだろう―と思っていた。入選通知が来て、涙が出るほどうれしい。作品は未熟な部分もあったが、『サロン・ドトーヌ』ならではのダイナミックさで評価をいただいたものと思う」と笑顔を見せる。
作品やタイトルに込めた思いで「暗い世の中、不景気でも月の光が輝いている。暗い世の中だからこそ、魂を焦がして、皆さんに力を与えることができれば」と語る。
「サロン・ドトーヌ」で入選した「白虎(月光)」は月と左向きの白虎を描いているが、今年の「ル・サロン」には太陽と右向きの白虎を描いた「白虎(陽光)」を出展する予定。同作品も8年前に完成させたもので、両作品で対になっている。
「ル・サロン」は正統派に対し「サロン・ドトーヌ」は前衛的な作風で知られており「同じ『白虎』でも両方入選したら面白いのでは。作風が真逆の公募展で年に二つ入選するか確かめてみたい」と話す。
また、今年の「ル・サロン」で「白虎(陽光)」が入選すれば、過去に入選した「青龍=せいりゅう」「玄武=げんぶ」「朱雀=すざく」と合わせて「四神」のテーマ作品がパリで認められる結果となるとのこと。
今後に向けて「文字の作品で『ル・サロン』『サロン・ドトーヌ』に挑戦し、入選したい。絵だけではなく文字でも制覇して、日本文化の書道が世界で認められるようになればうれしい」などと、新たな挑戦へ意気込んでいる。