小学生と高齢者が学校で放牧の馬を通じて交流

 下川小学校で児童と高齢者が、どさんこのハナ(筆者の愛馬)を囲んで交流を深める―。そんなすてきなひとときが生まれた。
 同校1年生は、生活科の授業の一環でハナと継続的に触れ合い、命を大切にする心を育んでいる。1年生の要望で、ハナとの授業がない日も学校敷地内で放牧しており、中休みと昼休みに餌をあげるなど触れ合ってくれている(「下川小1年が馬のハナと心育む授業を展開」を参照)。
 そんな中、9月13日の中休みに、下川町の介護予防事業で心身のリハビリに取り組む「元気教室」を利用する高齢者20人が、担当職員3人の引率で散歩を兼ねてハナに会いに来てくれた。
 「元気教室」は毎週火・金曜日の午前8時45分から同10時半まで総合福祉センター・ハピネスで開かれ、町の作業療法士などから指導を受け、集団体操、レクリエーションなど心身機能の維持回復訓練を行っている。
 筆者は時々、ハピネスに近い自宅の庭でハナを放牧している。2021年8月から元気教室の利用者が散歩の一環で、自宅の庭にいるハナに会いに来て、触れ合ってくれるようになった(こちらの過去記事参照)。
 例年、利用者の皆さんが来てくるのは、体を慣らした後の6月になってからだが、今年は4月26日から会いに来てくださっている。早い時期からハナに会いに行けるよう、冬のリハビリ運動のモチベーションにもなったと聞いている。
 小学校もハピネスから近いので、元気教室にハナの小学校放牧を伝えたところ、「ハナちゃんが近くにいるなら行きたい。小学校は何十年も行ったことがないから行ってみたい」と、学校まで来てくださったのだ。
 1年生は、元気教室の高齢者たちを見ると「ハナちゃんにあげてみる?」と用意したニンジンを手渡し、高齢者も周りの草をとって、児童たちに「ハナちゃんにあげてみて」と手渡し、自然と交流が生まれた。校舎に残っていた児童たちも、窓から高齢者に手を振って、挨拶を交わしていた。
 元気教室の運動指導を担う下川町社会福祉協議会・健康運動指導士の竹本礼子さんは「自分の足でいつまでも歩いて元気に!を目標に、体力づくりのために散歩をしているが、ハナちゃんのところに行くことは、皆さんにとって一つの目標になっている。今回は小学校なので、いつもと違う道のり、子どもたちの様子も見られるかも―とワクワクした気持ちで向かっていた。小学生と交流もあり、行ってよかった、歩けるようになって良かった、子どもたちから元気をもらった、子どもたちの元気な声はいいねと話しており、また機会があれば、このような小さな交流ができたらいいなと思った」。
 下川小の高舘正司校長は「担任から馬との学習計画案を伝えられたときは、安全面など不安なこともあったが、小峰さんと担任とが学習の狙いを押さえ、丁寧な打ち合わせを行いながら、授業を展開していく様子から安心へと変わった。ハナとのふれあいを通し、子どもたちの心に変化が生まれ、貴重な学びとなっていると思う。そして地域の高齢者との交流、小峰さんの授業支援によって、子どもたちがすてきな時間をたくさん過ごすことができた」と話してくださった。

<2024年10月12日付名寄新聞掲載の記事を基に再構成しました>