市立稚内病院に、10月1日付で着任した救急医療専門医の岡﨑太祐さん(32)。過去に2年間、稚内で研修医として活躍した経験を活かし〝Uターン〟を果たした。同病院で救急医療を専門とした医師は岡﨑さんが初めてで「救える命を確実に救いたい。稚内に救急医療の土台をつくる」と決意。同病院では、来春に救急医療専門の部門新設に向けて検討を進めている。
大阪で生まれ、小中高校時代は奈良で過ごした。同級生の多くが医師を志望していた中で、自身も目指したいと仙台市の東北大学医学部に進学。医師免許を取得し、2018年から2年間、市立稚内病院で研修医に。その後は20年から4年半、福岡県飯塚市の飯塚病院での勤務を経て市立病院に着任した。
23年度から救急の専門医となり、救急医療を巡る状況については「トレーニングがかなり必要。救急専門で取り組んでいる病院は全国でも少なく、若いうちに稚内で経験していきたいと思った。重症の患者さんを内科に橋渡し出来るように頑張っていきたい」と。市立病院の印象は「専門分野で治療している優秀な先生が多い。研修医の指導に手が回らないこともあり、当時は自学自習に励んだ。職場環境が良く、看護師など医療スタッフも頑張っている。患者さんと接する中で医者の地位が高いように感じる地域ですね」と述べた。
稚内市を含む宗谷管内では高齢化が進行。それに伴い、救急医療も忙しさを増す。2023年の稚内消防署による救急出動は全体で1732件のうち急病が1217件と、ここ数年は高止まりが続いている状況。岡﨑さんは「高齢者の重症疾患は誤嚥性肺炎が多いが人工呼吸器を使うと良くなる。以前だと看取りとなっていた方もこの1か月間で3、4人は退院できる出来るほどになった」とした。
市立病院は都市部の病院とは異なり、症状が軽い人から重症患者までが利用。岡﨑さんは「救急医療としては魅力的な地域。特に病院外診療のポテンシャルがある。現場で対応する救命士との連携にロスが無く、救急症例を把握することも出来る」などと語った。
趣味は釣りで「稚内は適地。沖で1人でのんびり楽しみ、大物を狙いたい」という。
(梅津眞二)
日刊宗谷の購読をご希望の方は以下のお電話またはホームページからお願いいたします。
TEL:0162-23-5010
HP:宗谷新聞社ホームページ