抜海駅100周年祝う 記念碑除幕や懇親会も

抜海駅近くに建立した100周年記念碑の除幕

 抜海駅開業100周年事業実行委員会では23日、抜海駅前広場で記念式典及び記念碑の除幕式、抜海漁港の倉庫で懇親会を開催。関係者や稚内市民をはじめ、道内外の鉄道ファンなど合わせて100人以上が参加し、大きな節目を祝った。

  式典参加者のうち約60人が稚内発の列車で抜海駅に訪れた。森寛泰実行委員長は「廃駅の話をきっかけに大切な駅ということに気が付いた。100周年に向けてのクラウドファンディングで沢山の支援を頂き、記念碑を建てることも出来た」と感謝。来賓祝辞で鈴木茂行議長に続き、歴史的建造物の保存などに努める前稚内市長の横田耕一さんが「住民の方の色々な思いが駅に込められているが、行政に頼るだけでなく、(駅舎を)残していく心意気を示していくことが大切」と述べた。

 続いて、抜海駅近くの私有地に建立した記念碑を関係者と来賓5人で除幕。2021年に実施したクラウドファンディングなどに協力した67人・団体の名前が石碑に刻まれている。抜海地区出身で、東京で会社社長を務めた前逸男さん(68)は「高校時代は駅から列車に乗り、稚内市街地に通っていた。駅は抜海市街から離れているが、夏は自転車、冬は歩いた。過疎化が進む中で駅の維持も難しくなってきているが、100年の節目を祝いたい」と述べた。

  このあとバスで懇親会の会場に行き、バーベキューを囲んで参加者同士が交流を深めた。

  抜海駅は1924年6月25日に開業。駅舎は昔ながらの木造で、長年にわたって地域住民などに親しまれている。JR北海道は利用が少ない無人駅の1つとして2021年春のダイヤ改正で抜海駅の廃止方針を示したが、地元町内会が廃止反対の意思を示したことで稚内市が持続可能な公共交通体系の確立に向け、協議の間は維持費を支出。市では維持費の負担は24年度末を以って終了することを町内会に伝えている。

(梅津眞二)