新たな定住対策に期待 しもかわ財団を設立・運営開始 毎年30人が下川へ移住

【下川】

しもかわ財団の事務局

 一般財団法人しもかわ地域振興機構(通称・しもかわ財団)が、今年3月に設立、4月からスタートした。
 7月1日付で新たな事務局長が町から派遣されたことから、事務局長の宍戸悠二さんに今後の事業展開などについて話しを聞いた。
 しもかわ財団は、2016年度に設立された任意団体の「下川町産業活性化支援機構タウンプロモーション推進部」が担っていた移住促進などの事業を引き継ぎ、新たに定住促進などを強化する役割を加えた。
 人口減少を起因とする地域課題の解決には、行政と地域の中間的で専門的な立場から、地域課題解決への取り組みの総合的な支援が必要との判断で設立された。
 人口減や少子高齢化に対応するため、収入を得る場の確保や、住み続けられるための環境整備、魅力の創出などの目標を掲げている。
 財団の役員構成は、理事6人(理事長・市田尚之下川町副町長)、監査2人、評議員4人で、職員は町からの派遣2人を含めて6人となっている。
 町では、2030年における下川町のありたい姿(下川版SDGs)の行動指針として、地域内外の多様な人々とともに「つなぎ(つなぐ)」「ささえ(ささえる)」「つくる」を掲げている。
 「つなぐ」の取り組みとしては、「人と人をつなぐハブ機能」の役割を財団が担えるよう、町民同士が知り合う機会の創出などに努める。
 これまで、タノシモカフェ(月に1回、移住者を含めた町民同士が飲食物などを持参して語り合う場)、総合移住の促進のため、地域人材バンク、空き家バンクなどの取り組みを実施。今後は、移住した人の活動紹介や、住民同士が知り合う機会の創出などの取り組みに対して支援を実施していく。
 「ささえる」の取り組みでは、「住民・団体への活動支援」の役割を担っていく。これまで、起業家に対する支援などを中心に行ってきたが、今後は、更なる情報提供、相談窓口・支援、事業継承、新事業化支援などを実施する。
 具体的には「取り組みの参考となる情報が欲しい」「助成制度を活用したいがよく分からない」「事業継承をしたい」「講師を呼びたいがつながりがない」などの事例に対して支援していく。
 「つくる」の取り組みでは、「産業活性化・地域の魅力創出」の役割を担う。新たに財団が設立されたことによる新メニューで、行政と財団が共通認識を持ち連携・協力して、地域課題の解決に取り組んでいく。
 24年度は、事業承継者支援事業を中心に取り組むことを予定しており、25年度以降は、地域の事業者や団体との対話を行うことでニーズを把握し、検討することとしている。
 下川町には、道内外から移住してくる人も多く、19年度から23年度までの5年間で延べ148人が移住しており、1年間の平均では約30人となっている。
 移住者の内訳をみると、年代別では10代~40代が85%を占めており、若い世代が中心となっている。世帯の構成別では、単身世帯と、夫婦及び夫婦と子どもの世帯が、ほぼ半々となっている。道内・道外の比率は、道内4割、道外6割となっており、大半の移住者はⅠターンである。また、移住者の85%はその後も定住しており、15%は転出している。
 宍戸事務局長は「移住者の定住率は約85%と比較的高くなっている。今後も長く下川に住んでいただけるように、地元の人も含めて、地域課題を解決して定住対策を進めていきたい」と意欲を語る。
 しもかわ財団の新たな取り組みに、期待したい。