本紙管内地価、下落傾向続く 名寄地区住宅地は横ばい 商工会議所 商 工 会 行政と一体の商工業振興策強化

 国土交通省は、今年1月1日現在の地価公示価格を18日に公表した。
 地価公示価格は、国土交通省が全国の不動産鑑定士に依頼して決定・公表する土地価格の指標(適正な時価)で、裁判の評価や、税金の基準とするために定めている。
 税務署が相続税や贈与税の際に積算する評価額は、地価公示価格の80%程度、市町村の固定資産税の評価額は、同70%程度となっている。
 公表された道内の商業地、住宅地など全用途の平均は、前年比プラス2・0%と9年連続で上昇。住宅地では、富良野市北の峰町が2年連続全国一の31・3%の上昇率。商業地では、次世代半導体製造のラピダス進出などによる影響で、千歳市幸町が48・8%の上昇率で、同様に2年連続全国一の上昇率となった。
 本紙管内では、名寄市が、1平方m当たり住宅地平均8300円(マイナス1・2%)、商業地平均1万9900円(マイナス1・3%)。下川町が、住宅地同2300円(マイナス0・9%)、商業地同4500円(マイナス2・2%)。美深町が、住宅地同2300円(マイナス2・3%)、商業地同5000円(マイナス3・8%)となっており、いずれも、下落に歯止めがかかっていない。
 本紙管内の公示価格の推移を【表1】にまとめた。
 〈名寄〉
 住宅地については、名寄地区の3地区は、横ばいで下落に歯止めがかかったように思えるが、風連地区では、2地区とも下落が続いている。商業地は、2地区とも下落に歯止めがかかっていない。
 こうした現状について、名寄商工会議所の藤田健慈会頭は「人口減少に歯止めがかかっていない。地価の下落は、マチの価値の低下」と話し、「2050年に人口2万人を維持する社会を目指したい。2万人を切ったら、医療や教育、産業などが揃ったマチの形態を維持するのが難しい」と述べる。
 また、自身が代表を務めるまちづくり会社で、先般アンケート調査を実施した結果を基に、「先行きが見えず、商業者が夢を失っている」と語る。
 商工会議所としての対策については、「引き続き、行政と一体で商工業振興施策を推進したい」と話す一方、独自施策として、人材不足を解消するため「タイミーの『スキマバイト』を4月以降スタートできるよう準備中」と語る。
 また、開業支援についても「食堂などの重点分野を中心に、多角的な支援ができるよう検討中」と話す。
 名寄美深道路・名寄インターチェンジ(IC)周辺の物流拠点化構想についても、「ぜひ推進したい」と意欲を語る。
 人口減少対策を議論する組織については、新年度から議論を進め、「歩きたくなるようなまちづくりを進めたい」と述べた。

 〈下川〉
 住宅地は南町222番地5が横ばいで、錦町117番地が微減。商業地も微減となっており、下落傾向に歯止めがかかっていない。
 公示価格の現状について、下川町商工会の平野好宏事務局長は、「地価はマチの評価。道内では、富良野、千歳など、全国一の伸び率がある自治体もあり、うらやましい。下落傾向が続いており寂しい」と話す一方、「移住者が多く、下川町の取り組みを理解してくれる方が一定数おり、喜ばしい」と語る。
 商工会の会員数については、「ここ数年は121件で横ばい」と話す。
 商工会では、行政と一体となって、町内で衣、食、住などが消費できるよう、地域プレミアム商品券を発行し、町内消費を呼びかけている。同様に「しもりんポイントカード」などにより、地元消費や行事への参加を呼びかけている。
 また、事業継承の支援として、専門家の紹介や相談窓口の強化などにも努めており、地域内での消費や事業承継を進めることで、「人口減や商店街などの衰退に歯止めをかけたい」と語った。

 〈美深〉
 住宅地、商業地いずれも微減となっており、下落に歯止めがかかっていない。
 こうした地価の現状について、美深町商工会の山崎晴一会長は、「地価の下落は、地域経済の重要な指標であるので、上川管内の中で商業地の下落率トップは、商工業者にとって大きな影響を及ぼす」と話し、下落の一つの要因として「北洋銀行美深支店の撤退があるのではないか」と推測する。
 商工会の会員数は154件で、ここ数年横ばいとなっている。
 また、「近年の人口減少は著しく、地域の活力が低下しているのを懸念する」と話し、「地価が下がり、地域の魅力が損なわれれば投資が減少することも懸念される」と語る。
 一方、「飲食店の開店が、ここ1年~2年で増えており、『美深町商工業担い手支援条例』などを活用した相談窓口の強化などに努めたい」と話し、新規事業や事業承継などの振興策に「行政と一体で取り組みたい」と意欲を語った。

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