冬になると運動直後の馬によく見られるのが、背中から沸き上がる湯気。筆者も愛馬ハナと日々運動しているが、寒い時期にはハナからもモクモクと沸く。まるで全身にオーラをまとっているようでかっこいい。
湯気のもとは空気中の水分か、馬の汗かは把握できないが、馬の優れた体温調節機能が関与していると考えられる。
大量に汗をかくことで体温調整をする代表的な生き物が「人」と「馬」なのだが、人と馬は汗腺の特徴が異なる。
人は上がった体温に反応する「エクリン腺」で汗を出し、体温の上昇を抑えるが、馬は運動や興奮に反応する「アポクリン腺」で汗を出し、運動で上がった体温を下げる。
馬は暑いときも運動しないと汗をかきづらいが、運動すると全身から大量の汗をかく。
運動後の馬をブラシでこすると、泡立つことが多々ある。馬の汗には石けんと同じ界面活性作用の成分「ラセリン」が含まれるからだ。
この成分で汗(水)が毛・皮膚の油分に混じり合って全身に広がり、体から熱を放出できる面積を増やし、素早い体温調整を可能にする。長時間、速く走り続けられることにも結び付くようだ。
<今回は名寄新聞の2020年1月3日付掲載記事を基に再構成しました>