玄米米糠麹と肝機能の検討、NASH4症例対象に臨床試験 たに内科クリニック・谷光憲院長 論文が「名寄市立病院医誌」に掲載

【名寄】

論文が掲載された「名寄市立病院医誌」を手にする谷院長

たに内科クリニックの谷光憲院長は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の患者が玄米米糠麹(こうじ)を服用すると、肝機能が改善された事例を論文にまとめた。この論文は名寄市立病院医誌の第31巻第1号(2023年10月発行)に掲載された。
谷院長によると、脂肪肝は、肝臓に脂肪が沈着して肝機能障害をきたす疾患。近年、非アルコール性脂肪疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎が増加の一途をたどっており、特に非アルコール性脂肪肝炎は、肝硬変、肝臓がんへ進展することもあり問題となっているという。
今回の論文テーマは「非アルコール性脂肪肝炎4症例に対して、玄米米糠麹を6カ月服用後の肝機能の検討」。NASHで同クリニックに通院中の患者4人をモニターに、2020年1月から12月の中の6カ月間で実施。食事前に玄米米糠麹「玄米酵素F100」(食物繊維が100gあたり23.6g含有)を毎食直前に2袋(7g)ずつ、半年間にわたって服用してもらった。
谷院長は「6カ月後で、全ての参加者で体重の減少が確認できた」と説明。肥満度を表す数値であるBMIを算出したところ、開始時の32.5±5.8から31.2±5.8へと減少。
また、肝機能の指標となるAST、ALT、γGTPで、このうちASTは有意な改善が認められた他、ALT、γGTP値はいずれも改善傾向に。また、肝臓の線維化の指標であるFIB‐4指数も、有意な改善が見られたとしている。
また、玄米米糠麹「玄米酵素F100」の服用中止から18カ月経過後に検査したところ、肝機能の指標となるASTとALT値がいずれも悪化していた。谷院長は「玄米酵素F100を内服することを契機に、食生活の見直しを図ったことが、肝機能の改善につながったと考えられる」とし、「NAFLD、NASH治療の主眼は肝臓の線維化の進展予防であり、玄米発酵食品の利用は、予防に対しての有効な手段の一つになりうると考えている」と指摘する。
NASH改善の要因として、谷院長は肥満の改善が一つとする他、「食物繊維などにより腸内細菌の乱れが改善されたことも要因ではないかとみており、今後研究を深めていきたい」と説明。
今後の取り組みとして、谷院長は「積極的にNASH症例への玄米米糠麹の投与を進めていくとともに、糖尿病の方へ投与することで、飲み薬が減らせた例、また、高尿酸血症(痛風)患者への玄米米糠麹の投与についても論文にまとめていきたい」としている。