【名寄・美深】
JR宗谷本線の観光列車「秋たび そうや」が4、5の両日、旭川駅~稚内駅間で運行。乗客たちは車窓から秋の風景を眺めながら、沿線の食や文化などを楽しんだ。
宗谷本線では、毎年5月中旬から6月上旬にかけて観光列車「花たび そうや」を運行し、好評を得ているが、秋にも沿線に魅力があることをPRするため、新たな観光列車として「秋たび そうや」を企画。
食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋の「四つの秋」をテーマに、沿線地域の「おもてなし」を通して、秋の魅力を体感してもらうことを狙いとした。
車両編成は「花たび そうや」と同様で、稚内側からキハ40形「道北流氷の恵み」、キハ54形「旧急行礼文用転換クロスシート」2両、キハ40形「キハ400宗谷線急行気動車風」の4両編成。
ヘッドマークは、おといねっぷ美術工芸高校の生徒がデザイン。1号車(稚内側)は伍石心愛さん(3年)が、夕方の宗谷岬を背景にエゾシカとキタキツネの親子。4号車(旭川側)は佐藤愛さん(1年)が、海に浮かぶ利尻富士を背景に秋を彩る紅葉と秋に真っ赤な実を付けるハマナスを描いた。
急行列車で、全車指定席(128人)として運行したが、切符は発売日(運行日の1カ月前)に完売。
4日に旭川から稚内への下り列車、5日に稚内から旭川への上り列車を運行。停車駅は上下で異なった。
「四つの秋」のうち、食欲の秋は、地元特産品や秋の食材を使った飲食品を販売。芸術の秋は、宗谷本線にゆかりのある芸術家や工芸家の作品展示や販売、地元音楽団による演奏。読書の秋は、沿線地域にゆかりのある本を停車駅や車内で紹介。スポーツの秋は、停車駅で沿線地域のスポーツを紹介した。
ほぼ満員となった車内で、乗客たちは車窓から秋の風景を眺めるとともに、葉が色付き始めた野山や樹木を目にした。
さらに秋晴れとなったため、天塩川沿いの紅葉が映えたり、利尻富士が現れたりするなどして、写真を撮る人もいた。
各停車駅では、沿線住民やマスコットキャラクターが歓迎。地元飲食店などが出店し、さまざまな食べ物を販売。乗客たちは舌鼓を打った。
車内には、おといねっぷ美術工芸高校による「秋たび そうや」ヘッドマークのデザイン紹介、絵画の展示、書籍のコーナー「秋たび文庫」もあり、沿線の食や文化などを楽しんだ。
神奈川県鎌倉市在住の黒川邦彦さん(49)は「秋たび そうや」に合わせて訪れ、旭川駅~稚内駅間の往復で乗車。「運よく切符が取れました」と笑顔を見せた。
北海道の鉄道が好きで、宗谷本線の列車には20年ほど前から乗り続けており、かつては深名線(1995年廃止)にも乗車した。
乗車後に「『花たび そうや』とは違った秋らしい、おもてなしでよかった。幌延駅で問寒別室内楽団の演奏、車内でも高校生の絵が飾ってあり、印象に残った。食では美深駅で買った、みたらし団子がおいしかった」と語っていた。
JR北海道旭川支社によると、来年以降の運行は未定だが、乗客や沿線住民からは「花たび そうや」とセットで運行を望む声が聞かれた。






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