稚内市では、将来的な南極への派遣を見据え、7月から1年間、国立極地研究所(極地研)の南極観測センターに企画総務部人事厚生課主任の鎌田隆雅さん(33)を派遣する。31日の定例記者懇談会で工藤広市長が明かした。これまでに市職員の身分で2人を南極地域観測隊員として派遣している稚内市。工藤市長は「期待を込めて極地研に送り出したい」などと思いを語った。
稚内市と極地研は繋がりが深く、昨年の極地研創立50周年に祝意を込めて市が100万円を寄付したほか、包括連携協定を締結するなどしている。工藤市長は昨年8月の定例記者懇談会で、極地研への職員派遣に向け、選考を進めていく旨を明かしていた。昨年10月に工藤市長が職員2人と面接。体力面などを総合的に判断し、鎌田さんを選考。12月に極地研の面接を経て派遣が決まった。
市職員としては、過去に第46次越冬隊員に就き、現在は定年退職している近江幸秀さん、第52次越冬隊員として現・人事厚生課長の市川正和さんの2人が南極地域観測隊員として活躍。工藤市長は「我々としては3人目という期待を持って派遣したい。かつて2人の隊員が果たしてきたように、この地域の子ども達に見たことがないような未知の世界を語り継ぎ、夢を持たせてくれれば」と語った。
鎌田さんは7月から東京で生活し、派遣先の南極観測センターでは南極地域観測隊員の引き継ぎや、南極で任務を行う隊員のサポートに関する業務などを担当することが想定されている。報道陣の取材に応じた鎌田さんは「面接で選考して頂いて大変嬉しい。健康に気を付けて1年間頑張りたい。これから極地研での業務で学ぶ知識や経験などを今後の仕事に活かし、稚内市に寄与できれば」と意気込みを語った。
稚内市出身で中央小、稚内中、稚内高校、公立はこだて未来大学を卒業し、2013年4月に採用。振り出しは市教委社会教育課。当時、南極での任務を終え、社会教育課主査に就いた市川さんの部下で「南極で過ごした話を聞き、興味を抱くようになりました」と鎌田さん。中学は野球、高校では硬式テニスに励んだ経験を持つ。
(梅津眞二)
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