自衛隊イラク派遣から20年 9

9 終わりに

これまで、8回に渡って、イラクにおける派遣活動、派遣隊員の声、地元支援団体の声、派遣時上級部隊長の声、藤田明大司令と加藤剛士市長の対談などを連載してきた。
自衛隊によるイラク派遣は、2004年1月から08年12月まで続き、このうち陸上自衛隊は、06年7月まで、先遣隊と第1次から第10次までの復興支援群に、約5500人の隊員を派遣し、全員が無事任務を完了した。
イラクにおける給水活動、医療支援、学校・道路などのインフラの復旧・復興など、多くの支援活動に携わった。
先陣となる先遣隊と第1次復興支援群には、名寄駐屯地から100人強の隊員が派遣されている。派遣された隊員13人の声を紹介したが、厳しい訓練を経て、荒れ果てたイラクの地における手探りでの復興支援活動であったことが想像できる。
自衛隊のイラク復興支援が開始され20年が過ぎ、撤収後も、十数年が経過した。この間、イラクでは、日本の自衛隊を含めた世界各国の支援と、イラク国民の努力で復興がなされた。
今回、イラク大使館の協力により、サマーワのあるムサンナ政府庁舎、サマーワの下水処理場及び技術研究所の写真の提供を受けることができた。
復興したイラクの街の様子を感じ取ることができ、改めてイラク大使館に感謝申し上げる。
派遣の根拠となったイラク特措法の国会審議では、賛否が大きく分かれ、世論が2分されたことも記憶に新しい。結果として、全隊員が無事、任務を遂行できたことは、何より喜ばしく、国民・市民が安堵したのではないかと思われる。
なお、イラク特措法は、時限立法のため、2年間延長されたが、09年7月に失効している。
一昨年12月に、「国家安全戦略」など防衛3文書が改訂された。国際情勢は大きく変化しており、自衛隊の役割は年々増している。最北の駐屯地である名寄駐屯地の役割は、より一層重要となり、また、市民が自衛隊の活動を支えていくことの大切さを、前回の対談で、藤田司令と加藤市長が述べている。
一方、残念ながら、世界各地では、戦争や紛争が起きており、1日も早く平和が訪れることを願ってやまない。駐屯地を有するまちとして、市民一人一人の自覚が必要であろう。
最後に、忙しいなか寄稿をいただいた河野芳久様、火箱芳文様、島多慶志様に改めてお礼申し上げる。
なお、13日に予定されている第1次復興支援群長を務めた番匠幸一郎様の記念講演会の模様は、後日、名寄駐屯地の公式YouTubeで配信される予定となっている。
 (松島)

《フォーカス第4部終わり》