スピードアップ図られたが… JR北海道で事故やトラブル相次ぐ
2000年(平成12年)3月11日、待望の特急列車が運行を開始。札幌~稚内間の「スーパー宗谷」2往復、同区間の「サロベツ」1往復、同区間で夜行の「利尻」1往復が走り、最速で札幌~名寄間が2時間20分ほど、札幌~稚内間では5時間ほどで結び、所要時間短縮とスピードアップが図られた。
宗谷本線高速化事業は、利用客数や採算の関係から旭川~名寄間にとどまったため、宗谷本線特別急行列車運行実現期成会から引き継いだ宗谷本線活性化推進協議会(00年5月11日発足)が中心となり、名寄~稚内間の高速化も陳情していくことにした。
長らく急行列車だけだった宗谷本線に特急列車が走り、レジャーやビジネスなどで大いに利用されるようになり、日帰りの観光や出張も容易となった。
その後、利用が減少していた「利尻」が06年(平成18年)3月18日ダイヤ改正で定期運行を終了し、6月から9月まで運行の臨時特急「はなたび利尻」となったが、利用減少に続いたため、07年(平成19年)9月30日で廃止された。
名寄市内の智東駅は利用客がほぼゼロだったことから、06年3月18日ダイヤ改正で廃止され、1924年(大正13年)6月1日の開業以来、82年の歴史に幕を下ろした。同日のダイヤ改正では幌延町内の南下沼駅も廃止された。
路線廃止が一段落し、北海道の鉄道は平穏に推移してきたが、2011年(平成23年)5月27日、石勝線の清風山信号場、第1ニニウトンネル(占冠村)で、釧路発札幌行きの特急「おおぞら14号」が脱線、炎上する事故が発生。13年(平成25年)7月6日には函館本線の山崎~鷲ノ巣間(八雲町)で、札幌発函館行きの特急「北斗14号」のエンジンから出火。同年9月19日には函館本線の大沼駅構内(七飯町)で、帯広貨物駅発熊谷貨物ターミナル(埼玉県熊谷市)行きの貨物列車が脱線。その他にも事故やトラブルが相次いだ。
JR北海道では、列車の所要時間短縮やスピードアップに追われ、運行上の安全管理がおろそかになっていた。保線作業ではレールのデータが改ざんされていたことも発覚した。
特急「北斗」のエンジン出火の影響で、同型のエンジンを搭載していた「サロベツ」が13年7月7日から14年(平成26年)7月31日まで運休し、代替列車としてキハ40形とお座敷車両のキハ400形による臨時快速が13年8月1日から旭川~稚内間で運行した。14年3月15日ダイヤ改正では「スーパー宗谷」の最高速度が120kmに引き下げられ、所要時間が伸びた。その他の特急も最高速度120kmにダウンしており、これまでの高速化推進から転換した。
JR北海道の経営の厳しさが明らかとなり、16年(平成28年)以降、全道各路線で利用客減少や車両老朽化を理由に普通列車が減便されるとともに、利用の極端に少ない駅も廃止されている。さらに16年11月18日、「JR単独では維持困難な線区」が発表され、宗谷本線の名寄~稚内間も含まれていた。
(続く)

国鉄末期の1986年3月3日に無人化された


臨時快速