下川町で町内外多くの人に親しまれる施設といえば「五味温泉」(坪井秀明支配人)であろう。
五味温泉は、1905年(明治38年)厳冬に御料地を管理していた五味勘三郎氏が狩猟に出掛け、雪原に泉が湧き出る場所を発見。鑑定の結果、特効が判明して宿を開いた。現在は町有施設で下川町ふるさと開発振興公社(髙橋裕明理事長)が運営を担う。
泉質は、国内では珍しい良質な「含二酸化炭酸水素塩泉」で、神経症、皮膚病への改善効果が期待でき「美人の湯」として親しまれる。炭酸ガスが皮膚粘膜などの毛細血管を拡張し、心臓の拍動を増やさずに血液循環を良くする効果も期待できるとされる。
周囲に広がる森林では、さまざまな動植物が命を営む。
2021年6月27日、筆者は町内市街地から愛馬ハナ(ドサンコ)に乗って、五味温泉を往復した。
スタッフに歓迎していただき、敷地に設けた簡易柵でハナを4時間放牧。利用者の方々に触れ合っていただいた。その間、入浴や食事を楽しんだが、食堂からもハナを眺めることができた。
「五味温泉の屋外でのんびり過ごす時間も良い」とあらためて感じた。暑い日に木陰で涼みながら愛馬を眺め、こだわりのソフトクリームを味わった。多様な鳥のさえずりも聞こえ、のどかでぜいたくなひとときだ。
乗馬での往復は片道20~30分でほどよい運動。「多くの人々が馬で行き来していた時代」に思いをはせた。
<今回は名寄新聞の2021年7月23日付掲載記事を基に再構成しました>