馬は生きる力を育む、日大と下川で自然生かしたセラピー体験

馬について来てもらおうと試行錯誤する学生

NPO法人しもかわ森林未来研究所は、日本大学商学部と連携して、2017年9月7日から下川町内に2泊3日で、馬と森林散策を組み合わせた「自然資本を生かしたメンタルヘルス(心の健康)ケア」の実証体験プログラムを開催した。
自然資本の社会的価値を高める学術研究の一環で、日大商学部の学生や教授、社会人など20人が参加した。
講師は他力サンガ発起人のよりたかつひこさん、NPO法人森の生活。美桑が丘では森林散策、ホースセルフケア、フレペでは精油づくり、講演「馬と自然と生きる力」を実施した。
ホースセルフケアでは北海道和種馬2頭を放牧し、声や音を使わず、馬に触れることもなく、馬と一緒に歩くことに挑戦。身振り手振りで前進の意志を伝え、草で気を引くなど試行錯誤しながら、馬とのコミュニケーションを楽しんだ。
よりたさんは「草をはむのに夢中な馬から、まず注意を向ける必要がある。草や棒を持つのは効果があった。馬が注意を向けた瞬間は、キャッチボールで投げたボールを相手が受けた瞬間。そのときに一歩進むことが重要。これが投げかえって来るボールを受け止め、投げ返すことになる」と話した。
また、参加者は馬にリードを付けて、自分のペースに合わせて一緒に歩いたが、よりたさんは「元気よく動けば、馬も元気に動く。自分の感情の変化が他者に変化を与え、自分がひとりぼっちにはならないと教えてくれる」と伝えた。
日大3年の滝口達也さんは「ホースセラピーがどんなものか、ワクワクした。人以外とコミュニケーションをとったのは初めてで新鮮」。学術研究の代表、日大商学部の村井秀樹教授は「乗馬以外のホースセラピーは想定外だったが、コミュニケーションを取るために非常に有効な手法と実感した」と語る。
講演では、よりたさんが「セラピーは生きる力を育てる活動。馬は個体認識能力がなく、他者との区別がない。誰にでも平等であり、差別しない。正しい構造ができれば、誰もがコミュニケーションを取れる。それがセラピーにとても有効」など説明した。

<今回は2017年9月の名寄新聞掲載記事を基に掲載いたしました>