高級ホテルなどへのキャビア販売強化 美深振興公社23年度営業実績 純利益万円を計上 温泉、道の駅売り上げ増加

【美深】

びふか温泉、道の駅「びふか」などを運営する第3 セクター、株式会社美深振興公社(代表取締役社長・草野孝治町長)の第44期(2023年度)営業実績がまとまった。コロナ禍の行動制限が解除され、温泉や道の駅の売り上げが増加。純利益は359万9千円を計上し、2期ぶりの黒字決算となった。第45期(24年度)は高級ホテルやレストランなどへのキャビア販売を強化。コンサル会社による経営分析を受けることにしている。
同社は22年7月、道の駅を運営していた3セクの株式会社アウルと統合し、新「美深振興公社」を設立。通期では初めての決算となった。
23年度の営業報告によると、新型コロナウイルス感染症の行動制限が解除され、温泉の入館者、道の駅の来場者が増加し、売り上げも伸びた。
温泉部門の純売上高は2億2432万5千円で前年実績比194万1千円増。指定管理料やチョウザメ飼育管理業務受託の委託収入を除くと同比639万円増となっており、本業の売り上げは伸びている。
内訳は入館料(入浴)収入が1355万2千円で同比81万3千円増、宿泊収入は4813万6千円で同比183万6千円増、食堂収入は2981万8千円で同比342万8千円増、宴会収入は1578万2千円で同比96万6千円増。ビジネス、観光の両面で利用が増加しているが、特に夏場のビジネス関係が多くなった。
キャビアなどの販売収入は780万8千円で同比12万6千円増。チョウザメ収入(魚肉販売)は111万5千円で同比4万円減となったが、需給バランスは均衡している。
キャンプ場収入は433万1千円で同比48万2千円減。休日、繁忙期の悪天候などが影響したとみられる。
道の駅部門の売上高は1億2921万7千円で同比1441万3千円増。温泉と勘定科目を統一したため、指定管理料を委託収入に計上しており、実質は417万9千円増となっている。
内訳は売り上げ全体の8割以上を占める店内売り上げが1億720万5千円で同比310万7千円増。外販売り上げは403万5千円で同比61万3千円増となった。
支出では、温泉部門で臨時・パート賃金が繁忙期の宿泊増による出勤日数増、びふかアイランド管理人をシルバー人材センター委託から温泉直接雇用に変更したため、同比289万6千円増。正規職員の給与手当は町からの派遣職員2人分が減少したため、同比1039万4千円減だが、公社雇用職員の増加、最低賃金の改定により減少幅は圧縮され、派遣職員分を除くと大幅に増加している。
道の駅部門では、消耗品費が販売増などにより、同比172万1千円増。給料手当は育児休業明けの復職や新職員雇用により、同比473万9千円増となった。
営業損益は温泉部門で658万1千円の赤字、道の駅部門で138万9千円の赤字となり、合計797万円の赤字。町からの光熱費補助や家賃収入などの営業外収益を加えると、純利益は温泉部門で230万1千円、道の駅部門で129万8千円で、合計359万9千円となり、2期ぶりの黒字決算に。22年度の純損益は物価高騰の影響で光熱費や燃油費、消耗品費などがかさんだため、1817万円の赤字だった。
次期繰越利益は4802万5千円の赤字となっている。
24年度の営業計画では、今年2月から温泉の宿泊料金など、4月からは入館料を値上げしているが、温泉や道の駅の売り上げ増を図る。
販売収入はキャビアの販売拡大による増加を目指す。一般販売の他、高級ホテルやレストランなど企業への販売を強化する。
温泉のレストランは職員不足のため、昨年10月末から休止しており、人材確保を早急に進めるとともに、メニューの価格や品数も見直しながら、再開を目指す。
温泉では新たにホテル・旅館マネジメントを専門とする経営コンサル会社と契約し、現状の経営分析、課題、改善策の提案を受ける計画で、25年度以降に具体的な改善策を実施する。
道の駅では、土・日曜日限定だが、チョウザメフライのテイクアウトを始めるなど、新たな取り組みをスタート。今後も創意工夫して、新たな発想でチャレンジする。
同社では「町からのエネルギー関係補助があったこと、物価高が続いており、電気料金の補助も打ち切られたので、経営に楽観視はできない」と気を引き締めている。