最近、新聞や雑誌、TVなどで、「認知症」が頻繁に取り上げられている。その「認知症」について、名寄市大通南3丁目の片平外科・脳神経外科、斉藤武志院長に話を聞いた。
認知症、日本人の死因第1位に
―なぜ、いま「認知症」が話題になっているのですか?
斉藤院長 団塊世代による高齢者の増加で、物忘れや記憶力の低下など脳の老化が進み、自分は病気じゃないか―との心配や、この状態が進むことへの心配が、高齢者の関心を高くしているのだと思われます。
―現実的に、認知症の人は増えているのでしょうか?
斉藤院長 最近の慶応義塾大学、ワシントン大学の調査によると、2012年以来、認知症による病死の原因が、脳疾患を抜いて1位を占めています。
また、ある生命保険会社の調査では、なりたくない病気の1位が「認知症」と3割強の回答を得ており、自身の周囲を見渡しても、該当する人々が多く、マスコミ等の報道により、世間に認められ始めたと思われます。
認知症の3大原因とは
―認知症とは、どのような病気ですか?
斉藤院長 認知症は、高齢と共に起こる脳の老化と異なり、タウと呼ばれる物質や脳にアミロイドβ蛋白がたまることによって、脳の神経細胞が破壊され、理解力や判断力が無くなり、社会生活や日常生活に支障を来す病気です。
―どのような病気が認知症の原因になるのでしょうか?
斉藤院長 原因となる病気は三つあり、それぞれ症状が異なっています。①アルツハイマー型②レビー小体型③血管性です。
アルツハイマー型は、新しい出来事を記憶できず、無気力、無関心、妄想、暴力、徘徊(はいかい)などの症状が現れることがあります。
レビー小体型は、注意力の散漫、物が歪んで見えるなどの症状があり、理解力や判断力が日によって異なることがあります。
また、幻視を見たり、睡眠時に奇声や大声を上げたり、怒鳴ったりします。
血管性は、脳梗塞や脳出血により、感情の起伏が激しくなり、ささいなことで泣いたり、怒ったりすることがありますが、残念ながら、まだ詳しい発症のメカニズムは解明されていません。
認知症の判断と治療
―認知症かどうかを判断するには?
斉藤院長 本人が病気を判断するのは大変難しいので、家族や周りの人が注意する必要があります。
病気を疑う判断としては、(1)モノや人の名前が出てこず間違える。同じことを何度も言ったり聞いたりするなど、言動がおかしいとき。
(2)同じ物を何度も買う。約束を忘れたり、薬を飲み忘れるなど行動がおかしいとき。
(3)新しいことを覚えられず、品物を見ても何だか分からない。服の着方や道具の使い方が分からないなどと言う。
(4)ささいなことで怒ったり、暴力を振るう。食物以外の物を食べたり、入浴を嫌がる。物を盗まれたと騒ぐ―などです。
―認知症を治療するには?
斉藤院長 原因となる3種類の病気に対する治療方法は・・・、病気の進行を止める治療は確立されていますが、残念ながら、現状では完治することができません。
早期に病気を発見して、病気の進行を止めることが大切です。このため、一刻も早く専門の医療機関での治療が必要です。
―最後に一言。
斉藤院長 認知症になると、さまざまな症状がどんどん進行します。現在の医学では、症状を止めることはできても、完治させることはできません。ですから、認知症を早めに発見して、症状を止めることが大切です。
片平外科・脳神経外科「物忘れ外来」
▽診察日=月、火、木、金曜日
▽時間=午後3時から
▽受診には予約が必要で、電話01654③3375まで
片平外科・脳神経外科の沿革
片平四三男氏が、北海道大学医学部を卒業。女満別、鵡川、下川町立病院院長を経て、1955(昭和30)年に片平医院を開業。診療科は一般外科、皮膚科。
現院長の斉藤武志氏は、弘前大学医学部卒業。北海道大学医学部脳神経外科学助手、北里大学医学部講師、川崎市立井田病院脳神経外科医長、同病院脳神経外科部長を経て、92年7月に医療法人片平外科・脳神経外科を開業。95年、医療法人社団片平外科・脳神経外科理事長。診療科は脳神経外科、一般外科。皮膚科、リハビリテーション科。


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