【名寄】旅行者の飼い猫が、名寄市内で行方が分からなくなって4カ月以上が経過した今月上旬、JR智恵文駅付近で無事発見され、飼い主は安堵(あんど)している。
猫の飼い主は、IT企業のファーレイ株式会社(本社・東京都中央区晴海)代表取締役の福田英伸さん。同社は「猫とはたらく企業」として「猫同伴出勤」など、猫とともに過ごすオフィスというユニークさで注目を集めている。
福田さんは旅行が好きで、北海道を訪れることも多い。飼い猫と旅行するため、移動はキャンピングカーを使用している。
特に士別市周辺を気に入っており、今年は旅行の最中に名寄自動車学校(和田敏明管理者)でドローン免許、けん引免許を取得することにし、5月下旬から訪れていた。
5月30日に入浴のため、なよろ温泉サンピラー(日進)に向かい、駐車場にキャンピングカーを止めた。当時は暑かったこともあり、窓を開けたが、飼い猫の「たては」から一瞬、目を離した隙に「たては」は車外に出てしまい、行方が分からなくなった。
「たては」は雄の1歳半で、人間に換算すると19歳ほど。毛色は白黒で、鼻や頭上に独特な黒い模様、白色が少し混ざった長い黒色の尻尾などの特徴を持っている。体重は6kgほど。
飼い猫を探すため、6月30日まで滞在したが見つからず、いったん帰京。その間、「たては」の写真と特徴を示して情報提供を呼びかけるチラシを名寄市内の各所に貼り出すとともに、名寄新聞に広告を掲載。同学校や同温泉などが捜索に協力した。
名寄を離れる際、なよろ温泉付近などにカメラを設置し、遠隔通信によってスマートフォンで映像を見られるようにした。9月18日に再び名寄を訪れ、ドローンでも捜索したが発見できず、26日に帰京した。
10月5日に智恵文地区の住民から「たては」と思われる猫の画像が添付されたメールが届き、福田さんは翌6日に名寄へ。智恵文郵便局付近でも「たては」が目撃されたことから、周辺にカメラと捕獲器(わな)をセットし、7日午後6時ごろ、智恵文駅付近で「たては」がわなに入り込み、130日ぶりに発見された。
なよろ温泉から智恵文駅までの足取りは「たては」のみが知ることだが、同温泉から山中に入り、JR宗谷本線に沿いながら、同駅前まで至ったと推測される。直線距離では10kmほどだが、実際にはそれ以上の移動距離となる。
今年はクマの出没が相次ぐ中で、無事発見されたことに安堵している。
福田さんは「4カ月間、何も情報がないところで、猫を探すために自分がやっていることは正しいのか―と思った」と語り、落ち着かない気分だったことを明かす。
130日ぶりの対面に「正直言うと、まだ実感はなく、帰宅してから他の飼い猫と会わせたとき、どのような反応をするのか見たい。自動車学校の和田先生をはじめ、ボランティアの方たちが毎日のように探していただき、感謝しております」。
また、130日は人間で換算すれば2年半に相当。「たては」の表情を目にして「あどけない顔だったが、今は一皮むけたような格好」と話し、笑顔を見せていた。



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