【美深】
酪農学園大学(江別市)獣医学群獣医学類3年の松井瑞嬉さん(21)は、美深町地域おこし協力隊インターンで、町内のチョウザメ養殖施設で餌やりや採卵作業などを体験している。地方活性化に関心が高く、今後に向けて「地方で獣医が酪農業を支えており、地域の活性化に貢献したい」と語る。
町では、地域おこし協力隊の応募につながる取り組みとして、まずは同隊の活動や生活を実際に体験してもらおう―と、総務省の同隊の制度を活用し、2023年度から「美深町地域おこし協力隊インターン」を開始。昨年10月から要項を施行し、チョウザメ振興事業と商工会事業で12月15日まで募集した。
松井さんは札幌市の生まれ。祖父母が十勝地方で酪農業を営んでおり、牛など動物が好きなことから、同大学に入学した。
「長期の休みに地方へ行きたい―と思っていた」と語り、インターネットでインターンについて検索していたところ、美深町地域おこし協力隊インターンで、チョウザメ振興事業の活動を見つけて応募。松井さんが同インターンの第1号となった。
現在は春休み中で、6日に美深入りし、7日に草野孝治町長から委嘱を受けてインターンをスタート。初日は辺渓地区の飼育研究施設、SAF恩根内など町内5カ所のチョウザメ養殖施設を見て回るとともに、餌やりを体験した。
美深を訪れるのは初めてのことで「飲食店が多く、いろいろな施設や企業もたくさんある」。
大学の授業では動物の解剖や「魚病学」などを学んでいるが、チョウザメを実際に見るのは初めてで「動物の体のつくりに興味がある。現場に行く機会はないので、今回、チョウザメの養殖現場を見てみたかった。チョウザメの飼育でたくさんの工夫がなされ、多くの種類があることも知った」と話す。
8日にはSAF恩根内で採卵作業を体験。雌の「カラム」と雄の「トラ(シロチョウザメ)」を交配させた「カラムトラ」(生後12年、重量11・5kg)から採卵し、異物を取り除いたキャビアを網付きのバットに広げ、岩塩をふりかけて水分を抜いた後、翌日に瓶詰めをして瞬間冷凍し、製品化する流れを知った。
「カラムトラ」からキャビアを採卵するのは美深が国内初で、魚体重量の1割程度が採卵量の目安となり、この日は1・15kgのキャビアを採卵。「卵をつぶさないように扱うのが難しかった」と体験中の様子を語る。
インターンは22日までで、今後はチョウザメをさばく作業なども体験。期間中は美深のまちを巡ることにしており「地方での暮らし方、休日のイベントの様子を見たい」。
方活性化の取り組みに関心が高く、これまでにも大学の長期休業期間を利用し、石狩市浜益区の関係人口創出プロジェクト、道外では兵庫県の獣害対策と関係人口イベントなどに参加した。
今後に向けて「野生動物に興味がある。農業被害防止と野生動物の共生ができればと思う。自分の興味があることと、地方活性化をつなげられるような活動をしていきたい」と語っている。