2021年の3月のお話。3月に入って下川町も雪解けが進み、除排雪が行われる国道は一足早く雪がなくなった。中旬から愛馬ハナ(北海道和種馬)に乗って、国道での走行も再開した。
同月26日には、ハナを放牧している郊外の町内三の橋から、町内市街地にあるたい焼き店「たい焼き 球(キュウ)ちゃん」(2024年現在は営業していない)を乗馬で往復した。
同店は、窓からでもたい焼きの購入が可能なため、乗馬でのドライブスルーを試みた。
馬は軽車両として扱われるため、車道左側走行を保ちながら同店の前に停止。屋内の店主が窓から差し出してくれた棒に、財布入りのバッグをハナに乗ったまま引っ掛けた。
店主は棒を引き戻してバッグの財布から料金を受け取り、バッグに釣り銭とレシート、たい焼きを入れ、再び棒に掛けて窓から差し出してくれた。
筆者がこれを受け取り、馬から降りずに買い物を完了。人的接触の距離まで保つことができ、感染症対策までバッチリだ。(当時はコロナ禍の真っ最中)
ハナも、このようなやり取りにも動じず、穏やかな表情で待っていた。
今では乗馬での買い物が日常化した筆者とハナだが、それまでには地道な積み重ねがある。
5年前から路上での乗馬を始め、地元の自転車愛好者の方々と一緒に郊外を走って経験を積み、2年目からは少しずつ市街地も往来するようになった。
外乗4年目、つまり2年前から、単独で乗馬できるよう、鞍(くら)に糞(ふん)を入れる袋と拾うためのちり取りを備え付けた。これに伴い、乗馬で買い物もするようになり、前年2020年から日常的になってきた。年々成長を遂げるハナと、妻や地域の方々と共に、下川町の日常を楽しみたい。
<今回は名寄新聞の2021年4月1日付掲載記事を基に再構成しました>