稚内市出身のパラサイクリストで、自転車競技で世界的に活躍する藤田征樹選手=藤建設㈱所属=が、このほどブラジルのリオデジャネイロで開かれたUCIパラサイクリング世界選手権・15Kmスクラッチレースで3位に輝き、銅メダルを手にした。世界選手権での表彰台は2015年以来の快挙。藤田選手は今夏のパリ・パラリンピック出場に向け、最後の予選となる5月のワールドカップ(2戦)を前に、今回の世界選手権で大きな弾みをつけた。
藤田選手は世界選手権ではMC3クラスで15㌔スクラッチを含む5種目に出場。結果は1㌔タイムトライアルで10位、3㌔個人パシュートで9位、200㍍フライングスタート(FS)で5位、4種目の総合で順位をつけるオムニアムで4位といずれの種目も10位以内につけ、200㍍FSと3㌔個人パシュートで藤田選手が日本新記録を樹立した。
銅メダルを勝ち取った15㌔スクラッチは、選手が一団で走行した状態からスタートし、規定距離を走り切った順番で決着するレース。メイングループに先駆けて周回遅れにする(ラップ)、最終局面でのゴールスプリントが主なレース運び。
藤田選手は、スクラッチで序盤のライバル選手の動きに合わせて3人での逃げに持ち込んだ。良い展開となったが、中盤から優勝候補のイギリス選手が単独ラップを決め4人の勝負。最終盤にイギリス勢がスパートをかけ、イギリス選手が優勝し、藤田選手はカナダ選手にゴール線前で及ばず3位の結果に。レースの展開や心境について「身体の状態が良く、序盤から積極的にラップをとることができ、チャンスがあると感じた。中盤以降も自力でよく動けたと思うが、最終盤のスパートがきつく、後手を踏んだ。それでも表彰台に絡めたことでほっとしました」と語った。
パラリンピックに向けては「スクラッチは展開次第でチャンスがあると思ったが、世界選手権でメダルを獲得できたことはとても嬉しい。大きな目的だったパリに向けたポイントも獲得できた。スクラッチはパラリンピック実施種目ではないがレースを通じて得た自分やライバル選手の情報は、今後のロード競技に向けて役に立つと思う。個人パシュートなどで日本記録を更新するなど、大会を通じて良いパフォーマンスを出すことができ大きな収穫だった」と。
今後、5月にベルギーとイタリアで行われるロードワールドカップがパリパラリンピック予選の最終戦となる。藤田選手は「厳しい戦いが続くが、日本の出場枠を増やすために良い走りをしたい。稚内や会社の皆さんのご声援のおかげで走ることができ、本当にありがとうございます。残りのパリ予選をしっかり走れるよう頑張ります」と力強く語った。
(梅津眞二)
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