【下川】
自由に文章で表現の世界を楽しもうー。下川で誕生した手づくり文芸誌「道北文芸・令和6年13号」が、10日付で発行された。
長年、現代詩を書き続けてきた錦町の文梨政幸さんが、6年前の2018年、仲間に呼びかけて創刊。参加は町内の他、美深、札幌、北斗、湧別などから11人。
今号は倉橋三千雄さんのエッセー「道新『読者の声から』(一)」で始まる。昔の「時事川柳」から伊藤勝行さん(元下川営林署)、「戦争の二字の怖さが薄められ」。稲村森雄さん(下川)「対外援助その裏側の消費税」などスクラップを基に時代考証を試みる。
市村千賀子さんは「男子『厨房に入らず』に思う」。「食事が出来るのをテレビを見ながら待っている主人」「『今の時代、だまってても食事が出るのは奇跡なんだよ(中略)』と私の心がつぶやく」などユーモアたっぷり。
原武ふみえさんは美深町にあった駅を題材とした「初野乗降場」。「昭和二十二年五月、在校生五十名程の斑渓小学校へ(中略)通学」「同級生は九人。一年生から六年生まで一つの教室で勉強」「校長先生一人で全学年の教科を受け持ち」などと思い出をつづる。
山本とも子さんは「舞姫とよばれて」。旭川女子高校1年のとき習った舞楽の思い出とその後など。
文梨弘子さんは「ひまわりに酔う」。「若い時には想像もしなかった年齢を生きている」といった書き出しで、独自の人生観を淡々と。
髙橋實千代さんは料理の「うまに」について。「馬を煮るのではない」など語源を探る。
冬城展生さんは「感情曲線譜」。サブタイトルにある「言葉の限界」への挑戦の様子。文梨代表の「猫(まる)との日々(3)」は「『寝子』と云うだけあって、午前中のほとんどは寝ている」など。
俳句は市村さん、桑原敦子さん、髙橋さん、下川句一郎さん、丹羽弘子さん、文梨さんが5句ずつ。短歌は本田初美さんが10首、五行詩歌は髙橋さんが4編。
詩は倉橋収さん「戻らぬ夏の梯子」、文梨代表「秋から冬へ」など。同じく文梨代表の連載「望郷(11)」など。
B6判42ページ。定価500円。表紙カットは文梨代表が描いたもの。
問い合わせについては。文梨代表(電話01655④3586)まで。