今回は下川町一の橋地区のイベント「ハナカフェ」誕生のお話。
2020年9月20日、下川町一の橋地区の旧診療所、木工クラフト・家具の工房「森のキツネ」兼「家具乃診療所」で、愛馬ハナ(和種馬)を囲んだ催し「ハナカフェ」が開かれた。
森のキツネ ・家具乃診療所を営む河野文孝さんが、一の橋の住民から「地域で集まる楽しみが減ったので、何かやってほしい」という声を受け、身近な人・物で、できることをしよう―と主催した。
筆者は25年前、この一の橋に魅了されて下川町へ移住。以来10年以上、一の橋に住み続けた。記者の仕事の都合から町内の中心街付近に転居したが、今でも一の橋は最も住みよい地区だと思う。
ハナを飼い始めたことを機に、4年前から毎年、ハナに乗って一の橋を訪れ、現地に住む友人たちと共同で、ハナの出張放牧を実施。放牧中のハナを囲み、現地住民有志と自転車サークル「リンリン倶楽部」との合同交流食事会も楽しんできたが、今年はこれまでとは違った交流となった。
2020年1月下旬、河野さんから「馬の見えるカフェ」の構想を聞いた。森のキツネショップで将来的にカフェコーナーを設ける構想があり、町内で馬に興味のある移住者が増えていることから、地元有志と共同で実現したいと言う。
その構想は資金や時間を要することから、実現はまだ先のことだったが、筆者は毎年9月に一の橋でハナを放牧していたので、その期間に合わせて「週末馬カフェを試験的にやってみたらどうか」と提案した。
河野さんは今夏、身近な人たちへ呼び掛けて「ハナカフェ」を企画し、会場の準備に加え、将来を見込んで馬の放牧柵用のくいも設置した。
筆者はハナ放牧用の電気柵張りに協力した後、リンリン倶楽部主催のポタリングでハナに乗って自転車に乗るメンバーと散走し、ハナを町内三の橋放牧地から一の橋まで移動。この年も9月17日から25日まで放牧した。
放牧はこれまでの一の橋神社通りではなく、森のキツネ裏庭で行い、期間中、河野さんにハナを見ていただいた。
ハナカフェ当日は地元の人たちで、ピザやタコス、エゴマ葉入りクッキー、コーヒー、紅茶、化粧品、木工品、ハナカフェTシャツの販売、似顔絵描き、ポタリング(自転車散走)、フリーマーケット、馬の餌あげ、乗馬体験などを提供。屋外の飲食や休憩スペースに加え、屋内のカフェコーナーの窓からもハナを見ることができ、幅広い世代が憩いのひとときを過ごした。
河野さんは、来年もハナカフェ開催へ意欲を示す。
今後もイベントが継続されることを期待しつつ、やがて一の橋にも常時、(ハナ以外の)馬がいるようになったらうれしい。
と当時つづったが、ハナカフェは2023年に3度目開催。さらに一の橋にもハナの仲間の馬がいるのである。それはいずれ語りたい。
<今回は名寄新聞の2020年10月2日付掲載記事を基に再構成しました>