馬の時代から運送を経験

若き日の岡崎信之さんと愛馬(ばん馬)

 以下の思い出は2016年にまとめた記事です。
 今回は下川町で馬からトラックの時代まで、運送に携わっていた岡崎信之さん(当時80代)に、思い出を語っていただいた。
 岡崎さんは町内サンル地区出身。幼い頃から馬好きで、近所の馬喰(ばくろう)に乗せてもらっていたようだ。
 中学校卒業の昭和25年から3年間、農業を手伝ったが、自分の馬を持ちたくて馬搬で働き始めた。造林山の丸太をバチバチに積み、愛馬に引かせて土場まで運び出した。
 昭和34年まで働き続けたが、トラック輸送の時代に変わり始め、運転免許を取得し、日本通運下川営業所へ入社した。同51年に下川日通運輸となり、平成3年の下川運輸へ名称変更と同時に、同26年3月まで代表取締役を務めた。
 馬が車代わりだった時代のサンルの暮らしで「買い物や通院も、夏は荷車、冬はそりを馬に引かせ、町までの片道12kmを往復した。女性は湯たんぽとカク巻き姿。馬の通る道幅しかない場所では、そりが横転することもあった」と語る。

造林山から馬搬で丸太を運ぶ岡崎さん

 馬の扱いで「馬は大きい体だが、人を頼る動物。大変臆病でもある。馬主と信頼し合わないと、思うように動かない。痛い、疲れたなどと言えないので、毎日、餌の食べ具合、ふんなど健康状態を見ることが大切。神経を使った」。
 また「信頼し合うと言葉一つで動き、手綱はほとんど使わなかった。扱った馬には、下川のばんえいレースで1、2位を争った馬もいた」など振り返る。
 馬との日々に「50、60年も前のことで、懐かしい思い出になった」と話す。

丸太を引きながら工場の浅橋を登る岡崎さんと愛馬

<今回は2016年3月28日付名寄新聞掲載の記事を基に再構成しました>