書評
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BOOKLAB.書籍紹介 石狩少女
昨今、作家の再発見や再評価による作品の出版や復刊が盛んである。とりわけここ数ヶ月の筑摩書房のレーベル・ちくま文庫における女性作家による作品の再出版には私個人、目を見張るものがある。野溝七生子や佐久間文子、森崎和恵…彼女たちと共に少女文学の名作として長らく入手困難であった森田たまの本作品『石狩少女(註:少女はおとめのルビあり)』も装いを新たに書店に並ぶこととなった。
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日本のいいもの おいしいもの
『日本のいいもの おいしいもの』は、著者のケイリーン・フォールズが日本で出会ったおいしい食べものを、水彩イラストとともに紹介する書籍だ。フォールズはアメリカのミネソタ州出身。現在は日本でデザイナーやテレビリポーターとして活躍している。本書は日英バイリンガル仕様となっており、日本語も英語もフォールズが担当している。さらに、80点のイラストも全てフォールズが手掛けている。
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BOOKLAB.書籍紹介 カラスのお宅拝見!
私事だが、今年3月引越しをした。自宅周辺を散策しゴミ捨て場などを確認したら、案の定カラスが戯れている。長い歴史の中で、傍迷惑な隣人ならぬ隣鳥として人々の生活に居ついてきた彼らだが、実際どんな暮らしを送っているのだろう。そんな素朴な疑問に答えてくれるのが本書だ。
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ロシア語だけの青春
黒田龍之介はラジオ外国語講座やテレビの語学講座、大学において長年ロシア語を中心に講師を務めた人物であり、
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BOOKLAB.書籍紹介 見立て日本
松岡正剛とは何者か、説明するのは難しい。伝説的マガジン『遊』の創刊者であり、日本文化論を中心に多数の著作を発表している。あえて肩書きを書き連ねるなら、編集者、編集工学者、ミュージアム館長、文筆家、批評家、俳人、などなど。知識人や文化人と呼ぶこともできるのだろう。
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BOOKLAB.書籍紹介 サイラス・マーナー
ジョージ・エリオットという名を聞いて、どんな人を思い浮かべるだろうか。多くの人が男性を想像するだろうが、実はこの著者は本名メアリ・アン・エヴァンズという女性だ。19世紀ヴィクトリア朝時代を、雑誌編集者・作家として生きた、才気に溢れる並々ならぬ努力の人である。
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BOOKLAB.書籍紹介 ぼくの美術帖
美術館で窮屈な思いをしたことはないだろうか。たとえば人気の画家の展覧会で、絵というより人を見に来たかのような混み具合に疲れたり、有名とされる作品を見てもいまいち良さがわからず決まりが悪い思いをしたり。芸術に癒されようと美術館に来たはずなのに、帰る頃には身も心も疲れ切っている、という状況に陥ったことのある人は少なからず存在するだろう。
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BOOKLAB.書籍紹介 デザインの引き出し47
一見すると本には見えないこの立体的でインパクトの強い表紙。独特な画風のキャラクターは、大人気イラストレーター・ヒグチユウコによる「ひとつめちゃん」である。
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BOOKLAB.書籍紹介 親切人間論
数年前ある方に「切ったら血の出るような文を書きなさい」と言われたことがあった。書き手にとって考えなければ死んでしまうほどに切実な事象を、表現を尽くして語ることによって、その文と言葉は脈を持ち、息をしているかのような差し迫った問題や語りとして立ち現れる。
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BOOKLAB.書籍紹介 日本の名随筆54 菓
『日本の名随筆』というシリーズをご存知だろうか。作品社より出版のアンソロジーで、明治期以降に書かれた随筆・エッセーの中から選りすぐりの名文が各巻30から40編ほど収録されている。驚くべきはその巻数で、なんと本巻100巻、別巻100巻の計200巻。