「名寄和牛」生産を目指す 獣医師 好本充德さん、道北ビジネスコンで最優秀賞 乳牛に受精卵を移植、酪農家の経営安定も図る

【名寄】

加藤市長に受賞を報告した好本さん(左)

名寄市在住の獣医師・好本充德さん(40)は、名寄でブランド和牛の生産、流通を目指して、乳牛に受精卵の移植を進める取り組みで「道北ビジネスプランコンテスト2024」の最優秀賞を受賞した。「『名寄和牛』をつくるため、まずは肥育の練習から始めたい」と意気込んでいる。
好本さんは1984年4月6日、札幌市の生まれ。父の転勤のため大阪府豊中市で育った。岩手大学を卒業後、北海道農業共済組合に就職。士別市と名寄市で牛や馬の診察、授精業務に当たった。同組合を退職後、昨年4月に事業所「Good More」(名寄市緑丘37)を立ち上げ、獣医師として名寄市や下川町で牛の診療や繁殖、受精卵の移植などを行っている。
同コンテストは、旭川市や名寄市など道北6市3町で構成する同コンテスト開催協議会が主催し、2015年度から開始。構成9市町村で創業予定または開業後2年以内の新規事業者や新事業展開計画のある事業者を対象に、ビジネスプランを募集した。
本年度は20件の応募があり、1次審査を通過した5件が最終選考に進んだ。最終選考は2月22日にICTパークコクゲキ(旭川市3条通8丁目)で行われ、好本さんが最優秀賞に輝いた。名寄市からの最優秀賞受賞は初めてとなる。
好本さんは「名寄和牛で地域発展!」をテーマに発表。業務で受精卵の移植を行う中、名寄でブランド和牛の生産、流通を目指すとともに、酪農家の経営安定を図り、乳牛から和牛を生産するため、受精卵の移植技術を進める取り組みだ。
流れとしては、自ら採卵を実施し、体外受精卵を作製。酪農家の乳牛に受精卵を移植し、乳牛から和牛が誕生するもの。乳質は変わらないという。
受精卵の作製や移植、肥育、出荷まで一貫しており、ビジネスプランでは、2年目から子牛の買い取りを開始。4年目から和牛の出荷を開始できるとともに、収支が黒字に転換するとのこと。
好本さんは3月3日午後5時に市役所名寄庁舎を訪れ、加藤剛士市長に受賞を報告。
今後に向けて「和牛の肥育をしたことがないので、まずは親牛を購入し、肥育の練習から始めたい。親牛の方が子牛よりもリスクが少なく肥育できる。どのような餌をあげたらよいのか考え、アスパラのかすもあげてみたい」と話した。
また「受精卵も間もなく作ることにしており、受精卵が完成次第、近隣の酪農家にアナウンスしたい。子牛を飼うため、牛舎を新たに建てるのか、どこかで借りるのか、協力していただける方を探していきたい」と意欲を語る。
コンテストで最優秀賞を受けて「ここまで来たら『名寄和牛』をつくりたい。知名度が上がれば頭数も拡大できる」と展望を語っている。
加藤市長は「酪農家が飼料高騰など課題を抱える中、資源を科学の分野で付加価値を高めるものであり、地域の価値も高まるすばらしい発表。これからの取り組みに注目している」などと期待を込めた。

名寄新聞の購読をご希望の方は以下のお電話・FAXまたはメールからお願いいたします。
※地方発送も承っております。お気軽にお問い合わせください
購読料:1,980円(1ヶ月)
TEL:01654−2−1717
FAX:01654−3−2181
MAIL:web-regl@nayoro-np.com