「小さな非日常」提供へ、市街地でホテルとカフェ計画 美深町在住 荒川れん子さん、 はまなす財団「食と観光創業塾」で“はまなす賞”

【美深】

はまなす財団の「食と観光創業塾」を
受講した荒川れん子さん

美深町在住のフリーアナウンサー、荒川れん子さんが、公益財団法人はまなす財団(阿部啓二理事長)の「食と観光創業塾2024」で、美深町内でのホテルとカフェの開業計画でプレゼンテーションを行い、「はまなす賞」を受賞した。「小さな非日常」を提供しよう―と、ホテルとカフェは市街地の空き店舗を改修し、今年中の開業を目指しており、「評価していただいたので、実現に向けて動き出したい」と語る。
同財団では、道内の地域おこし協力隊員や民間の人たちを対象として、食と観光分野の創業に向けて、実践的なスタートアップ研修となる「食と観光創業塾」を2024年度からスタートした。
「地域が幸せになるカフェ&ゲストハウスのオーナーを目指そう!」をテーマに12人が受講。昨年7月9日の開講から半年間にわたり、マーケティングや資金調達、開業に向けた行政手続きを学ぶなど、さまざまなプログラムを提供した。
昨年12月16日に最終の第4回集合研修を開催、夢の実現に向けた事業計画を発表。プレゼンでは事業計画全体の熟度、地域貢献度、実現可能性や持続可能性などの観点で審査され、「はまなす賞」に荒川さんを含む2人、審査員特別賞に1人が選ばれた。
荒川さんは、美深町出身。名寄高校、昭和女子大学を卒業後、富山テレビ、テレビ北海道(TVH)でアナウンサーを務めた。その後、フリーアナウンサーとなり、ソニー・ミュージックアーティスツに所属し、女優としても活動した。
07年にハワイへ移り、現地の情報やレポートを日本のメディア向けに発信した。母親の看病のため、22年に美深へ戻った。
美深に戻った時、人口が減り、まちが寂しくなっていたのを実感したとのことで「まちをもっと元気よくすることができないだろうか―と考えた。滞在型観光にすることで、活気付けられると思う。近年、新しい飲食店がオープンしているが、夜にお酒が飲めないと選択肢が減るので、市街地に宿泊施設があれば、もっと人を呼び込める。美深にいる方もワクワクを感じられ、体験できるスペースがほしい」と話す。
23年秋、起業に向けて同財団に相談。実績や親身なスタッフが決め手となり、「食と観光創業塾」に応募。定員の3倍の倍率を突破して受講した。
プレゼンでは「美深町ホテル&カフェ事業計画」と題して発表。「通過型観光」から「滞在型観光」への転換を図り、美深町を新たな観光・交流拠点として発展させよう―という構想だ。
施設は観光客だけではなく、地域住民にも「日常から少し離れた小さな非日常」を提供。既にある飲食店や宿泊施設と共存しながら、町全体の活性化に寄与することを狙いとしている。
プロジェクトの概要は、親戚が所有している美深町内市街地の空き店舗(旧美深町商工会館)を引き取って改修し、1階にカフェ、2階にはホテルを設ける計画。
カフェは、美深産や北海道産の食材を活用したメニューを提供。ハワイの人気メニューも再現し「北国でハワイを感じてもらえれば」。さらにイベントスペースを兼ねて、ワークショップや講座、ライブなどの開催も想定している。
ホテルは、客室が4室程度、ドミトリーで8ベッド程度を予定。「市街地のホテルから歩いて飲食店に出かけられることが前提」と強調する。
開業資金は、自己資金の他、補助金や融資、クラウドファンディングを見込むとともに、改修ではDIYでコストを抑えることを検討。「壁塗り体験などを通して愛着が湧いてもらえたら、うれしい。皆さんでつくり、皆さんのための施設にしたい」と願う。
「はまなす賞」を受賞した特典として、開業に向けた専門家の派遣を受けられるとのこと。早ければ来年中の開業を目指しており、「資金調達でハードルもあるが、『はまなす賞』で評価していただき、背中を押していただいたので、とにかく実現に向けて動き出したい」と意気込んでいる。

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